在日韓国人などに対する人種(民族)差別、偏見、憎悪を扇動するヘイトスピーチおよび街宣活動を犯罪行為として規制するよう、法整備の早期実現を求めて、「ヘイトスピーチを根絶させよう! 東京シンポジウム」が21日、東京・港区南麻布の韓国中央会館で民団中央本部人権擁護委員会の主催により開かれ、約350人が参加した。参加者らは「ヘイトススピーチを許してはならない。許さないために行動しなければならない」との強い決意を新たにした。
法整備の早期実現求め
李根人権擁護委員会委員長は主催者あいさつで、「我々の次の世代が萎縮することなく、この日本で堂々と生きていくことができるように、若い世代に対して希望を与えられる活動こそ私たちの務めだ」と述べ、「今日のシンポの意義は大きい」と強調した。
呉公太民団中央本部団長もあいさつで「ヘイトスピーチは絶対に根絶しなければならない。全国の自治体への『法規制を求める意見書採択の要望活動』を強化しよう」と呼びかけた。
師岡康子・弁護士による基調報告「ヘイトスピーチの現状と課題」に続き、呉時宗・民団大阪堺支部団長が「大阪府堺地域の対策と取り組み」、薛幸夫・民団鳥取県本部団長が「鳥取県内での人種差別撤廃法制化要望活動」、在日韓国人法曹フォーラム所属の趙學植・弁護士が「法曹フォーラムからの報告」、徐史晃・青年会中央本部会長が「善隣友好全国集中横断活動」と題して報告した。
師岡弁護士はヘイトスピーチの問題点について、「マイノリティに対する差別であり、表現による暴力、攻撃、迫害。ヘイト・クライム(差別犯罪)もマイノリティに対する攻撃であり、主要に物理的暴力を伴うものであり、本質は共通」と強調。その害悪として、1,マイノリティに属する人々の尊厳を傷つけ、心身を害し、実生活に被害をもたらし、黙らせ、社会との関係を破壊し、社会から排除する2,「マイノリティに対する差別・暴力をはびこらせ、マイノリティおよび平等に関する言論を萎縮させ、民主主義自体を破壊し、ジェノサイド、戦争へと導くと指摘した。
続いて行われたパネルディスカッション(コーディネーター=徐元・人権擁護委員)では、パネリストの師岡弁護士、有田芳生・民主党参議院議員、ジャーナリストの安田浩一氏、市民運動家の金展克氏、李根委員長が1,「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などヘイトスピーチデモの現状2,ヘイトスピーチデモをやめさせるカウンター行動3,日本政府、政党、国会の取り組み4,被害当事者である在日同胞の現状と各地自治体での取り組みなどについて、それぞれが自らの体験・活動を踏まえて討議した。
パネリストらは、「在特会」の朝鮮学校へのヘイトスピーチについて最高裁がその違法性を認定する決定(9日)を行ったことを、日本社会において画期的なことだと高く評価するとともに、「まだ歯止めができていない」「『在特会』的言説・差別デモをなくすために何度でも声を上げていかなければならない」と主張。「人種差別を禁じる基本法の制定が急がれる」と強調した。
(2014.12.24 民団新聞)