法律相談Q&A

在日同胞の、在日同胞による、在日同胞のための生活者団体


法律相談Q&A 内容

掲載日 : [22-08-31]   照会数 : 1837

無断駐車された場合…所有者に自主的に撤去してもらう

Q

 所有地上で月極駐車場を経営していますが、1~2カ月前から、誰も契約していない区画に、所有者不明の自動車が1台駐車されています。警察にも通報しましたが、「民事不介入」という理由で対応してもらえず、このままでは新規に駐車場契約を締結することもできず大変困っております。こちらのほうで自動車を撤去してしまってもよいのでしょうか。
 

A

 月極駐車場のトラブルの中でも無断駐車は非常に厄介な問題です。

 ご相談内容の中にもあるとおり、警察は刑法等に違反していると言えない限り、民事上の紛争には介入しないという原則(民事不介入の原則)に沿って、「当事者同士で解決してください」と言って、何もしてくれません。

 だかといって、自分で勝手に車両を撤去すると、自力救済になってしまい、違法行為となります。

 「自力救済」とは、権利を侵害された側が、司法手続きを経ず、実力によって侵害された権利を回復させようとする行為で法律上、禁止されています。

 本件の場合、車のタイヤにロックをかけたり、レッカー車で移動させたりすることが考えられますが、これらの行為は、刑法の器物破損罪や窃盗罪に該当しないとも限らず、また民事上も不法行為に該当してしまい、自動車所有者から逆に損害賠償請求をされてしまう可能性があるのです。

 警察は何もしてくれず、自分で勝手に撤去することもできないとなると、法的に認められている手続き(民事裁判)の中で自動車を撤去していくほかありません。

 ただし、この場合でも、できる限りコストをかけないようにするためには、自動車の所有者を特定して、自主的に撤去してもらう(撤去することを合意してもらう)ことを目標にする必要があります。

 無断駐車の場合、手続きを踏めばナンバープレートからでも車両所有者の氏名・住所の開示を受けることができます。

 まずは、当該所有者宛てに内容証明郵便で自動車撤去(と無断駐車による損害賠償)を求める手紙を送り、接触を図っていくことが重要になります。

 接触ができれば、交渉次第にはなりますが、自動車所有者に資力がない場合には、自動車撤去に同意してもらい、こちらで撤去をしてしまったほうが、裁判手続きで自動車を撤去するよりもコストが低く済む可能性が高いでしょう。

 他方で、自動車所有者に資力がある場合、自動車に経済的価値がある場合、又は無断駐車による損害が大きい場合等は、無断駐車期間分の不法行為に基づく損害賠償を求める民事裁判で判決を得た上で、自動車の競売手続きや、資産の差押えを含む強制執行を行ったほうが良い場合もあり得ます。

 以上、無断駐車トラブルは駐車場経営に常に付きまとう厄介な問題です。

 日頃から、無断駐車をされないように、ポールや鎖等でガードしておくなどの対策をとっておくことが何よりも必要ですが、万一、無断駐車された場合には、自力で何とかしようとせず、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士 李将

 

法律相談Q&A リスト

  [total : 39] ( 1 / 2 )
番号 タイトル カテゴリー
39 亡き父の遺言 内容知りたい…家裁または公証役場、法務局へ 相続
38 アイドル活動と違約金…業務委託でも一般常識で検討を ビジネス
37 財産相続と民事信託…安心して家族に財産管理 相続
36 残業代・未払賃金の請求…管理責任者とは認められない場合も ビジネス
35 無断駐車された場合…所有者に自主的に撤去してもらう 不動産
34 「黒い雨訴訟」と被爆者健康手帳…原告以外でも交付申請可能 生活情報
33 交通事故の損害賠償…多岐にわたる賠償額の目安 生活情報
32 離婚と養育費…期間は子が自立するまで 結婚
31 実母と異なる戸籍記載…「親子関係存否確認」の訴えを 相続
30 韓国籍家族の死亡時の手続…死亡届記載事項証明書を請求 その他
29 この部屋、事故物件?…自然死などは告知義務なし 不動産
28 日本の公務員、韓国籍では…「権力的」公務員には制限 国籍
27 国籍が違う夫婦の離婚…どちらの法に拠るか注意を 結婚
26 売掛金回収…仮差押えは周到に準備 ビジネス
25 隣家の木の枝越境してきた…勝手に枝を切れません 生活情報
24 性犯罪被害と匿名性…不安解く手立て様々に 生活情報
23 コロナ理由の休業とアルバイトの補償…正社員と同等に ビジネス
22 コロナ禍の従業員の解雇…4つの要件満たす必要 ビジネス
21 2重国籍の選択…成人になった時の意思に 国籍
20 突然の賃貸解約通知…「正当事由」あるかの争いに 不動産
19 主権免除について…「絶対」から「制限免除」へ ビジネス
18 韓国保有財産から借金の回収方法は…韓国の裁判所に提訴 生活情報
17 賃貸物件修繕と改正民法の関係…貸借人の権利が明文化 不動産
16 受遺者が先に死去...「予備的遺言」の活用を 相続
15 単純承認と限定承認 …財産管理人選任と清算手続きを 相続
14 韓国に相続人、遺産分割は …家裁に調停申し立ても 相続
13 不倫と離婚…婚姻費用の請求が可能 結婚
12 相続登記 遺言書の有無で大きな差 相続
11 残業代の請求…証拠の確保が重要 ビジネス
10 店舗賃料の減額請求…まず「民事調停」申し立て ビジネス
9 簡易裁判所で少額訴訟 貸した10万円 返してもらう 財産
8 死後認知、速やかに訴訟提起を 相続
7 相続人が不明な財産…所有権を「時効」により取得 相続
6 遺言のメリット…日本法での相続が可能に 相続
5 韓日国際結婚と姓名 選択肢は多数…家族で相談を 結婚
〒106-8585 東京都港区南麻布1-7-32
TEL : 03-3454 -4901 ~ 8  FAX : 03-3454-4614
© Copyright 2018 MINDAN. All Rights Reserved