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掲載日 : [21-05-12]   照会数 : 3178

コロナ禍の従業員の解雇…4つの要件満たす必要

Q

 私は韓国食材の食品会社を経営しています。これまで順調に経営してきたのですが、コロナによる緊急事態宣言や時短営業の要請などで、会社の収益が低下してしまい、これまで一緒に働いてもらっていた従業員を継続して雇用するのが困難になっている状況です。

 このように会社の経営が悪化していることを理由として従業員を解雇することは出来るのでしょうか。またその場合の手続きを教えて下さい。

A

 コロナ禍により会社の経営が影響を受けているということで大変だと思いますが、会社の収益が減り経営が困難になっている場合でも、従業員を突然解雇することはできず、適正な手続きを取る必要があります。

◆解雇の要件
 雇用主の経営上の理由による解雇を整理解雇といいます。整理解雇の場合は①整理解雇の必要性があるか②解雇を回避する努力をしたか③解雇者の人選基準や人選に合理性があるか④解雇手続きに妥当性があるか‐という4つの要件を満たす必要があるのが原則です。

◆各要件の検討
 各要件については様々な裁判例があります。

 例えば①整理解雇の必要性があるか。
 解雇をする必要があるほどに会社経営が困難となっている必要があります。経費の削減などで回避出来る場合などは解雇の必要性は低下します。

 ②解雇を回避する努力をしたか。
 ①と重なる部分もありますが、解雇を選択する前に、経費削減などの経営努力、賃金カットや新規採用を中止したり、希望退職を募集するなど解雇を回避する努力をする必要があります。

 ③解雇者の人選基準や人選に合理性があるか。
 客観的な基準により解雇対象者を選定する必要があり、恣意的に選定することは避ける必要があります。具体的には、休職や病欠日数、勤務状況等の総合評価などを考慮することなどは合理性が認められた判例がありますが、単に年齢や性別で判断して選定することは認められません。

 ④解雇手続きに妥当性があるか。
 解雇の際には労働者や労働組合に経理の資料を提示するなどして十分に説明を行う必要があります。

◆解雇の手続き
 そして、これら整理解雇の要件を満たしたとしても、突然解雇することはできません。

 原則として少なくとも30日前に予告するか、予告しない場合は30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。もっとも、必要となる予告日数は平均賃金1日分を支払った日数分だけ短縮することができます。

◆まとめ
 コロナ渦で経営状況が悪化している場合でも、従業員を解雇するためには適正な要件を満たす必要がありますのでご注意下さい。

 また、コロナによって影響を受けた事業者に対して補助金等様々な支援制度がありますので、コロナによって影響を受けている事業者は一度法律の専門家に相談してみることをおすすめします。

弁護士 崔順伊

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