掲載日 : [22-02-16] 照会数 : 5668
離婚と養育費…期間は子が自立するまで
Q
夫と離婚することにしました。現在、夫と別居中です。長男(高2)、二男(中1)、長女(小4)が私と一緒に生活しています。離婚が成立した後は、私が子ども全員の親権者として養育する予定です。しかし、夫が離婚に納得しておらず、協議離婚では成立しそうにありません。そこで、離婚調停を申し立てる予定です。
私の収入はパート収入以外にありません。別居中は貯蓄を切り崩しながら生活しています。今後、夫から生活費を支援してもらうことは法律上できないのでしょうか。ちなみに、私の年収は約120万円で、夫の年収は約600万円です。
A
◆婚姻費用分担請求調停の申立
今後、離婚調停を申し立てられるとのことですが、それと同時または離婚調停に先立って、婚姻費用分担調停を申し立てましょう。婚姻費用とは、法律上婚姻関係にある夫婦で分担する家族の生活費のことをいいます。
夫婦が婚姻関係にあれば、夫婦の負担能力(収入の大小等)に応じて、法律上互いに生活を助け合う義務(扶養義務)がありますから、別居中であっても、婚姻費用として生活費を分担しなければなりません。
◆婚姻費用の金額と期間
それでは、婚姻費用の金額は月額いくらになるでしょうか。婚姻費用の金額は、年収の大小や子供の人数などによって決まります。相談者の婚姻費用の金額を計算すると、月額約14万3000円となります。
先述したとおり、婚姻費用は婚姻関係にある夫婦で分担する家族の生活費であるため、離婚した場合には、それ以降支払ってもらうことができません。ただし、離婚後は子どもたちの養育費を支払ってもらうことができます。
養育費については離婚調停に付随して申立てをすることができますから、離婚調停を申し立てる際に、併せて申し立てましょう。
◆養育費の金額
養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。相談者の子3名の養育費の合計額は月額約11万3000円となります。
◆養育費の期間
養育費の支払いは、子どもが経済的・社会的に自立するまでですので、一般的には成人する20歳までと考えられています。もっとも、4年制大学に進学を予定する場合には、社会的に自立するのが22歳以降となります。そこで、調停では、「22歳になった後の最初の3月が到来する時まで」というように支払終期を定めて、大学を卒業するまでは養育費を支払ってもらえるように工夫する場合もあります。
婚姻費用と養育費が未払いの場合は強制執行をして、未払の婚姻費用や養育費を取立てることができます。離婚前に、相手方が利用していた金融機関や、証券会社、保険会社、そして相手方の勤務先等の情報を把握しておくことが、スムーズに婚姻費用や養育費を差し押さえるためには重要です。
弁護士 呉国峰