掲載日 : [21-03-31] 照会数 : 5941
2重国籍の選択…成人になった時の意思に
Q
息子夫婦に子どもが生まれることになりました。息子は韓国籍で、その妻は日本人です。この場合、生まれてくる孫の国籍はどうなるのでしょうか。私も韓国籍であるため、可能であれば韓国籍を保持してほしいと思っていますが、息子夫婦に何か良いアドバイスができますでしょうか?
A
◆韓日の血統主義
韓国と日本は父母両系血統主義を採用している国です。父母両系血統主義とは、その国の国籍を有する父又は母の子として生まれた子に、その国の国籍を与える主義のことをいいます。
そのため、韓国籍と日本国籍の父母から生まれた子は、日本国籍と韓国国籍の2重国籍を持つことになります。ただし、この2重国籍は一生涯に渡って認められるわけではありません。
◆韓国と日本の国籍法
現在、2重国籍を持つ子について、日本の国籍法は、外国及び日本の国籍を有することとなった時が20歳に達する以前であったときは22歳に達するまでに、いずれかの国籍を選択しなければならないと定めています。
また、韓国の国籍法も、原則として、満22歳になる前に、2重国籍を持った者は満22歳前にいずれかの国籍を選択しなければなりません。
ただし、韓国には兵役義務があるため、男子については、満18歳になる年の3月31日までに、又は、兵役義務の解消後2年以内に国籍を選択しなければなりません。
◆成人年齢引下げの影響
成年年齢の引き下げ等を内容とする日本民法の改正を受け、日本の国籍法についても改正が行われました。国籍の選択をすべき期限については2022年4月1日から変更されます。18歳に達する以前に2重国籍となった場合は、20歳に達するまでに国籍選択を迫られますのでご注意ください。ただし、2022年4月1日時点で20歳以上の2重国籍者については、22歳に達するまでに、どちらかの国籍を選択すれば足り、2022年4月1日時点で18歳以上20歳未満の2重国籍者については、同日から2年以内にどちらかの国籍を選択すれば足ります。以上の期限を過ぎてしまった場合であっても、いずれかの国籍を選択する必要があります。
◆まとめ
これから生まれてくるお孫さんは、一定の期間は、韓国と日本の2重の国籍を持つことになります。国籍選択の時期が近づく頃には、お孫さんのアイデンティティーも確立され、韓国と日本のどちらの国籍を選択するか、明確な意思を示すことができるようになっていると思います。
最終的には、成人となったお孫さんの意思に委ねるのが一番ではないでしょうか。
呉国峰(栃木県弁護士会所属弁護士)