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法律相談Q&A 内容

掲載日 : [20-05-27]   照会数 : 380

相続放棄と限定承認…限定承認で債務負担回避

限定承認で債務負担回避

Q

 在日韓国人の兄が死亡しました。兄には日本での事業の失敗による負債があったようですが、詳細は知りません。兄は離婚し、子どもがいます。母もまだ健在です。兄の残した負債が気になるので相続放棄について教えてください。

A

◆相続放棄の準拠法
 以下では韓国に財産や債務がないこととして解説します。

 まず、在日韓国人が日本国内で死亡した場合の相続放棄の手続きを韓国と日本のどちらの法律に沿うのかについて説明します。法律では「相続は被相続人の本国法による」となっており、亡くなった方の本国(国籍上)の法律に従います。亡くなった兄の国籍である、「韓国民法」に従って、相続放棄の手続きを行います。

◆法定相続人について
 韓国民法では誰が相続人になるのかを確認しましょう。

 韓国民法では、亡くなった方の直系卑属(子や孫など=日本法と異なり、孫も含む)が第1順位の相続人です。本件では亡くなったお兄さんのお子さんが第1順位の相続人になります。

 第2順位は被相続人の直系尊属(父母など)で、第3順位は被相続人の兄弟姉妹、第4順位は被相続人の四親等以内の傍系血族となっています。

 お兄さんは離婚しているので問題となりませんが、仮に死亡時に配偶者がいた場合、配偶者の他に子がいれば双方とも同順位の相続人となります。配偶者の他に子はおらず父母がいる場合にも配偶者と父母が同順位となります。

 いずれにしても、亡くなったお兄さんの子が第1順位の相続人となります。

◆相続放棄の手続き
 第1順位の相続人であるお兄さんのお子さんは、「相続の開始があったことを知った日から3カ月以内」に限り、相続放棄ができます。この期間は、借金などがあることを知らなかったとしても、被相続人の死亡を知った以上は期間が進行しますのでご注意ください。

 また、相続放棄の手続きは韓国の裁判所ではなく、日本の裁判所で、亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所に申請します。

 これによって相続放棄が受理された後、第1順位の相続人は、相続人から抹消され第2順位以下の相続人が順次、相続放棄の手続きを行っていきます。

◆限定承認について
 相続放棄にはこのように、厳格な期間制限が定められており、思わず申請期限を超過してしまうことがあります。ただし、この場合でも、相続人が借金などが相続財産を超過する事実を重大な過失なくして、知らずに期間を超過した場合、限定承認をすることで債務負担を回避できます。

 限定承認とは、相続財産の限度で相続債務を負担すれば足りるとするものです。この限定承認の方法については韓国は日本の法律と規定が異なるので慎重な判断も求められます。

◆まとめ
 今回の件ではお兄さんの子が相続放棄をした後、母もこれをし、最後には相談者本人のあなたが相続放棄をすることになります。ただし、在日韓国人の相続問題は慎重に事を進めないと思いもかけない理由から後にトラブルになることがあります。本稿をご覧になった方も、弁護士に相談の上、相続放棄のお手続きをとることをお勧めします。

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