民団中央本部は6月25、26の両日、東京・港区の韓国中央会館で「オリニ事業促進セミナー」を開いた。長引くコロナ禍の影響で停滞しているオリニ事業の現状把握と再構築、および情報交換を目的に文教局が企画した。民団中央本部が主催した対面方式による「オリニ事業指導者研修」は1990年代以来の開催だ。北海道・東北、近畿、四国の7地域から文教担当者、事務局長、支団長、青年会役員らが参加。各地の取り組みを共有し、支部、地方本部単位で今、何ができるのかを探った。
昨年10月のオンライン開催に次いで今回が2回目。冒頭、オリニ事業が「在日同胞社会の明日を築くことにつながる」ことを再確認した。初日の講義に立った鄭夢周副団長は「子どもたちの笑顔と、彼らから与えられる力なくしてわれわれの誇りはない。豊かな同胞社会はオリニ事業から生まれる」と述べた。
オリニ事業は新たな同胞と出会い、仲間づくりできる場を提供するのが目的。さらに、韓国と出会い、学び、体験する場でもある。
開催事例の一つ、京都王仁ライオンズクラブの子育て支援、地域貢献活動から民団南京都支部で始まった「京都子ども食堂」は府内3カ所に広がっている。素材にこだわった料理を提供し、子どもたちばかりか保護者同士が情報交換する場となっている。
青年会東京本部「オリニサマーキャンプ」については幼少期に自ら参加したことのある同本部の鄭昌晃会長が報告した。鄭会長は「一生忘れることができない思い出」と振り返った。3年ぶりの開催となる8月はすでに定員をオーバーしているという。参加者からは企画運営などについて多くの質問が寄せられた。
民団大阪本部が独自に考案した「ハングルカルタ大会」では参加者が4チームに分かれて、ガチンコ対決した。参加者からは「楽しみながらハングル学習ができる」と好評だった。
同本部の崔俊一文教部長が「全国大会を開催するのが夢」と胸中を明かしたのに対し、中央本部の徐順子文教局長も「ハングルカルタの民団バージョンを作成し、同胞社会全体の教材にしていけたら」と実現への後押しを約束した。
徐文教局長はリーダー不在の過疎地には近隣地方とのコラボ開催を提案。中央からも出張企画「出前講座」で支援していく。14年には愛媛と高知で「キッズパーティー」を成功させた実績がある。
また、8月の「オリニジャンボリー」、「韓国文化スクール」に続き、10月には東京近隣で大学生を対象とした「ライジングスターセミナー」(人材育成セミナー)の開催を準備していることも明らかにした。
民団秋田本部の呉俊煥事務局長は「次世代育成のメインでもある、オリニ事業は大切と思って参加した。セミナーで得られたヒントを活かし、過疎地の秋田の実情に合った事業を展開していきたい」と語った。
(2022.07.06 民団新聞)