掲載日 : [2023-02-15] 照会数 : 2342
【第77回定期中央委員会】2022年度総括報告Ⅰ概況
コロナ禍 同胞社会のため奮闘
概 況
新型コロナウイルス感染症予防対策
日本で最初の新型コロナウイルス感染者が出たのは2020年1月15日のことでした。その後3年が経過し、日本の累計感染者数は3,290万人、死亡者は累計69,970人となっています(2月8日現在)。2022年は「第6波」が年明け早々の1月から3月下旬まで、夏には「第7波」が9月中旬まで続き、多くの感染者が出ました。
民団も「オリニジャンボリー」を中止せざるを得なくなり、また諸般の事業に制約を受けました。8月19日には1日で最多の26万1,029人を記録しました。そして「第8波」が11月中旬から増大し、2023年1月下旬まで続きました。
その間、民団では第3回目となる外国人住民のための「民団コロナワクチン職域接種」を行ないました。現在、韓国の累計感染者数は3,030万人、死亡者累計数33,680人、世界の累計感染者数は6・72億人(中国の累計感染者数9億人を含まず)で、死亡者累計数は685万人に上っています。
新型コロナウイルスの原因は、「人類が自然を無視し、地球を共有すべき動物たちを軽視した結果」だと言われています。行き場を失った未知のウイルスが人間に感染したのです。未知のウイルスは変異を繰り返して、人間の社会活動や経済活動、自由を制約し、長期化しています。日本政府は今春、季節性インフルエンザ等と同じ「5類」に引き下げる方針ですが、コロナ感染予防対策とともに、よりよいワクチンを接種し「ウイルスとともに生きる」智慧が求められています。
ウクライナ情勢・世界の複合的危機
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵略は、歴史に刻まれる事態となりました。ロシアの覇権主義は、過去に喪失した地域の「支配」を武力で回復しようとするものです。ウクライナは自由民主主義を求め西側への依存を深めていました。国際秩序を無視して、侵略戦争は長期化し、様々な歪みを露呈させています。
民団ウクライナ子ども支援募金伝達
700万近いウクライナの子どもたちは厳しい寒さを迎え、身心の健康が脅かされています。民団はウクライナ子ども支援募金を始め、日本ユニセフ協会に寄付し、感謝状を授受されました。寄付していただいた全国の民団団員・同胞の皆様に感謝申し上げます。
世界の分断と混迷、物価高騰・エネルギー難
戦争の長期化によって食料難やエネルギー難が押し寄せ、物価の高騰を招き、生活困難に陥る人々が増えています。このような経済的危機とともに、民主主義と専制主義の対決構図が世界の分断と混迷を深め、全世界の人々の生活を圧迫している状況です。
日本では、昨年7月8日に安倍晋三元首相の暗殺事件が起こり、旧統一教会と自民党議員の癒着、9月27日の国葬儀を巡る国論の二分、マインドコントロールされた被害者を救済する新法の成立など、政治への信頼が揺らぎました。
韓国では昨年10月29日、ソウル梨泰院で雑踏事故が起こりました。ハロウィンで訪れた若者たちが狭い路地に密集し群衆雪崩による圧死事故が発生して、外国人26名を含む159名の若者たちが亡くなりました。早すぎる若者たちの無念の死を悼むと同時に、若い命を守れなかった行政、警察関係者の責任が問われています。民団中央では献花台を設置し、哀悼の意を表しました。
世界の複合的な危機はこれに収まらず、山火事、洪水、干ばつなどの異常気象による自然災害の危機。北韓や台湾をめぐる軍事衝突の危機。世界の人口が80億を超えて、一人の人間、一つの国家が負うことのできないほど複雑化した危機に直面しています。
このような複合的な危機の時ほど、人はフェイク(嘘)ニュースやヘイトスピーチ、ポピュリズムや陰謀論に騙されやすくなるものです。意図的に混乱を起こし、偏見と嘘と誹謗中傷をもって相手を貶める言動は、あってはならないことです。私たちは、社会的な課題を解決しながら、民団の価値をあげていかなければなりません。
第20代尹錫悦大統領就任
3月9日に投開票された第20代大統領選挙で、「国民の力」の尹錫悦・前検事総長が当選しました。在外投票もその前に行なわれ、私たちの多くが韓日親善を願い一票を投じました。呂健二中央団長は談話文を発表し、歓迎の意を表するとともに、戦後最悪と言われている韓日関係の修復に最善を尽くしてくれることを希望しました。
5月10日にソウルの国会議事堂前広場で就任式が行われ国内外の賓客や国会・政府関係者、一般国民ら計4万1000人が出席しました。就任辞において、尹錫悦大統領は、現状の困難を解決していくため普遍的な価値を共有していくことが重要だとし、「自由の価値を正確に認識し、再発見しなければならない」と訴えました。
就任式の前日、民団中央主催による「在日同胞祝賀歓迎晩餐会」を催し、11日には国務総理主催の「第20代大統領就任祝賀在外同胞招請レセプション」が開かれ、大統領や外務部長官も臨席しました。
呂健二中央団長は、大統領就任式の関連日程期間中、コロナの影響でこの間訪問できなかった要路の一部を訪問し、韓日関係の改善や民団に対する支援等について要望や意見交換を行いました。
中・高生対象「文化探訪スクール」開催
次世代、後継者の育成なくして民団の将来はありません。在日同胞社会は超少子化時代を迎えています。そういう中で次世代育成事業を推進していくには、日本籍同胞の子弟を含めた多文化共生の次元から次世代育成に努めねばなりません。
「2022第11回オリニジャンボリー」は昨年、一昨年とコロナ禍のため中止となりましたが、中・高校生を対象に夏休みを活用して全国の同世代が連帯を広げる「2022文化探訪スクール」の中学生コース(8月17~20日)と高校生コース(8月21~24日)が広島で開催されました。
この間、コロナの関係で中止していた夏の次世代母国イベントでしたが、民団では、全国の中・高生たちが一堂に集い、同胞や韓国文化と触れ合う場をと、国内での開催を企画しました。
ともに学び、ともに語り合いながら新たな絆を育み、小学生時代にオリニジャンボリーに参加したメンバーも多く、再会を喜びあう場面も見られました。3泊4日間、平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑の参拝をはじめ、韓国原爆被害者対策特別委員会から被爆証言を聞いたほか、県内にある朝鮮通信使ゆかりの地などを見学しました。
また、韓国語基礎講座やグループ討論会、全体交流会で親睦を深め合いました。広島県本部のご協力に感謝申し上げます。
大学生対象「ライジング・スターセミナー」開催
在日同胞大学生を対象とした「ライジング・スター・セミナー」が10月8日から3日間、都内のホテルなどで開催されました。
学生会(閔秀智会長)が夏のコリアン・スチューデント・ジャンボリー(略称KSJ)に代わる全国行事として、文教局と一体となって企画したものです。
「ライジング・スター」という名称には晴れて社会に旅立つ「新星」たちに対する期待と激励の思いが込められています。
同胞学生たちの出会いと連帯、そしてアイデンティティーについて語る場を広げようと募集の段階から留学生、母国修学生も対象に加え、これまで以上のパワーアップを図りました。全国から60人余りが参加し、コロナ禍としてはかつてない規模となりました。
初日は在日韓人歴史資料館の李成市館長(早稲田大学文学学術院教授)が「世界史の中の韓国史・韓国文化」と題して講演。2日目は「在日史」について勉強し、また就活セミナーも実施しました。参加者は6班構成で3日間を共にし、とくに「ルーツ」と「アイデンティティー」に対する意見交換ができ、互いの理解を深めることができました。
第103回韓国国体蔚山大会
第103回韓国国体蔚山大会が10月7日に開幕し、13日までの7日間、蔚山市一円で行われました。
在日同胞選手団(孫栄泰選手団長)は、最終的に、金7、銀6、銅6個の19個のメダルを獲得し、18カ国の海外同胞で競う「海外同胞の部」の総合で準優勝となりました。
総合表彰式を兼ねた閉会式は蔚山総合スタジアムで行われ、海外同胞の部総合優勝は金メダル12個を獲得した在米国同胞、3位は金メダル6個の在インドネシア同胞でした。来年の第104回大会は木浦市をメインに全羅南道一円で開催されます。