掲載日 : [2023-05-24] 照会数 : 1809
「ヘイトクライム」検察側が初の認定、徳島地裁公判 民団本部脅迫事件
[ 公判終了後、記者団の質問に答える姜盛文団長 ]
【徳島】民団徳島本部(姜盛文団長、徳島市)に対する脅迫事件の初公判が12日、徳島地裁であった。検察側は論告で「ヘイトクライムであり、人種や民族に対する偏見や憎悪で引き起こされた犯行だ」と述べ、懲役10カ月を求刑した。この問題に詳しい師岡康子弁護士によれば、検察側がヘイトクライムと断定したのはこれが初めて。日本ではヘイトクライムを規制する法律がないだけに注目される。
「抑止効果を期待」
脅迫の罪に問われたのは大学生、岩佐法晃被告(40、徳島市大原町)。岩佐被告は昨年9月、朝日新聞記者を銃撃した「民族赤報隊」を名乗り、「反日政策を続けるのなら実弾をもって浄化する」とした脅迫状を送りつけた。
姜団長は選挙演説中に銃弾を浴びた安倍晋三前首相の事件があっただけに、「武器を自作して本当に攻撃してくるかもしれないと思った」と話している。民団中央本部は在日韓国人を狙ったヘイトクライム対策と真相究明を求める「声明文」を発表していた。
被告は法廷で「反省してもしきれない。言葉もない」と謝罪した。弁護側は「反省している」として情状酌量を求めた。
公判で意見陳述を行い、被告への厳重な処分を求めた姜団長は「ヘイトクライムを起こす人たちの勘違い、思い込みは予想どおりだなと思った。そういう人たちは世の中にたくさん存在する。この判決が抑止効果、ないしは社会的なメッセージになってくれることを期待している」と記者団に語った。
(2023.5.24民団新聞)