SNSで韓流情報発信…高校制服の通販も展開
「女子大生マーケター」「日本一新大久保に詳しい女子大生」として、ツイッター、インスタグラムを通じて、新大久保(東京・新宿区)の韓流情報などを発信している日本人の大学4年生、もーちぃさん(21)。小学校2年生の時から新大久保で暮らし、街の変化を見つめてきた。2018年11月には自ら提案し、プロデュースする、日本初となる韓国女子高生制服の通販レンタルショップ「S.S.U」を始めた。「リアルな声を発信することを大事にしてきた」と話すもーちぃさんに聞いた。
「最初はアンチ新大久保だったけど、どんどん韓国が好きになってきて、自分だけが発信できる情報という意味も込めて『日本一新大久保に詳しい女子大生』という肩書を使っている」
小学校1年生の時、姉が誘拐(未遂)された。犯人に家がばれていることから急いで引っ越すことになり、小学校2年生の時に東京・町田市から、父親の実家がある新大久保に越してきた。転校した地元の小学校で壮絶ないじめにあい、小学校6年生で転校する。
小学2年生の時に始めたのは美容ブログ。同級生から「ブス」と言われた言葉が引っかかった。「自分がどうしたらコンプレックスを克服できるかという研究をブログを通じて発信していた」
だが「小学2年生が発信する美容情報は誰も読まないと思い、OLとか女子高校生と嘘をついてブログを書いていた」。母親に見つかってアカウントを消されたりを繰り返しながら続けたという。受験で入学した中学校は、東京大学などを目指す生徒が多く、友だちと馴染めないなどの理由から足が遠のいた。
この時期に出会ったのが、某企業が女子高生を中心とした10代の女子を集め、商品を提供する企業と座談会などを通じて、彼女たちが新商品の開発企画をするもの。活動は中学校2年生から高校2年生まで続けた。
「いろいろな企業に自分の意見を発信することができるようになった。やっと私の意見を必要としてくれる人たちに出会えたなという感じがした」。もーちぃさんはこの時の体験から女子高校生や中学生の意見を、正当に評価してもらえる場所を作りたいと考えるようになった。
高校2年生の時、女子高校生に向けて情報発信するWEBマガジン「SORENA」を立ち上げ、記事の執筆を開始。その後、新大久保の韓流情報を発信するようになる。
「私はここに引っ越してきたから嫌な目にあっているんだと思っていたけど、『少女時代』とかは可愛くて、いい曲だと思って興味を持ち始めたし、私のブログを見ているブロガーたちも韓国コスメを使うようになってきて、初めて新大久保のコスメショップを見てみたいと思った」
韓国制服の通販レンタルショップ「S.S.U」を始めたのには理由がある。女子高生は、ヒエラルキー(階層)をクラスで作っているという。
高校時代、もーちぃさんが見たのは、ほとんど交わることのないギャル系とオタク系の女生徒が仲良くアニメの話をしている姿だった。「好きっていうものがあればヒエラルキーは関係なく、盛り上がっていくことが出来るんだと思った」
「韓国を好きな女の子たちが韓国の制服を着て、それを通じて遊びに行ったりすることで、もっと仲良くなってくれたらと思って始めた」。通販にしたのは、都市部の女の子だけが盛り上がるのは嫌だったからだ。
もーちぃさんは「自分の住んでいる新大久保の街に若い女の子たちが来るようになって、それは10年前とは全然、違う景色だった。凄いなって思う」としみじみ語った。 そして、彼女たちのような存在は、悪化している「日韓関係なのか世界なのか、その関係を救うかもしれないと思っていて、自分ができることってあるのかなと考えることはある」という。
「ほかの人が今から新大久保に住み始めて発信しても、私が今まで新大久保を見てきたということには勝てないと思う」とし「それは私だけが発信できることだと思っている。自分が当たり前のように過ごしてきたことに急に価値が出てきたというか、もっと大切にしなきゃいけないと思う」
(2021.01.01 民団新聞)