掲載日 : [2021-03-16] 照会数 : 6248
JDもーちぃの新大久保ナビ⑤「新大久保のにぎわい」素直に喜べる日は…
[ 緊急事態宣言下の新大久保の街 ]
新型コロナウイルスが日本に上陸し、マスクの品薄状態が続いていた時、新大久保ではなぜかずっとマスクが売られていた。当時、新大久保で売っていたマスクはどれも日本製のものではなく、韓国コスメを売っていたお店や、ネパール料理のお店、ハラル食品のスーパーなどの店先に置かれていた。
韓国だけでなく、ベトナム、ネパール、中国などさまざまな国の文化が集まっている新大久保。各国のネットワークからマスクを輸入し、マスクが不足していた日本で販売をしていたのだ。新大久保の国際色をこんなところでも感じられるとは驚きだった。
最近では、韓国のフェイスパックを中心に販売していたお店が布マスクのお店に変わっていたり、メイクがマスクに付きにくいことで人気の韓国製マスクKF94などを取り扱うお店も増えてきた。
1回目の緊急事態宣言中の新大久保には観光客はほぼいない状態だった。しかし、母国の食材を購入するために新大久保に来ている買い物袋を手にした若者の姿を目にすることは多く、韓国、ハラル、インドなど、それぞれの食材を専門としているスーパーなどはある程度人がいる印象だった。
昨年5月に緊急事態宣言が解除されてから、今年1月に2度目の緊急事態宣言が発出されてから現在まで、新大久保の人通りは増え続けているように感じている。昼夜を問わず、新大久保には若者を中心とした男女が多く訪れており、カフェ巡りや買い物、韓国のカワイイを楽しんでいる。ある日、打ち合わせに使おうとカフェに入ると「30分は待ちますね」と言われてしまったほどだ。
昨今の新大久保が特に盛り上がりを見せているのは20時以降だ。飲食店に対して20時までの営業短縮要請が出ているが、そんな中、24時間営業の店が数店舗ある。新宿近辺から飲む場所を失った人々が新大久保の24時間営業の飲食店を目指してやってくる。他の飲食店が閉店した後、営業中の店の前には最近では見かけることが減った〝人だかり〟ができる。平日の夜にとある店舗の前で入店待ちの人を数えてみると、大体40組くらいが並んでいた。
「一緒に入ったほうが早く入店できるかもよ?」などと女性グループに声をかけている男性グループも何組か見受けられた。多くの人が近くのコンビニで購入したお酒を飲みながら並んでいる。寒空の中、みんな楽しそうでなかなかうるさい。窓ガラス越しに店内をのぞくと「これぞ3密」と言わざるを得ない光景を目にし、羽目を外している。
営業をしているお店と、近隣住民との口論を目にすることもあり、たまに警察の姿を見ることもある。飲食店にとって、20時以降の営業は苦肉の策だったのかもしれないと思うと、この状況を止めることも責めることもできないもどかしさを感じてしまう。
「緊急事態宣言が終わったら新大久保に行きたいです!」と私のもとにダイレクトメッセージをくれた地方の女子中学生がいた。韓国に行くのはまだ少し先になってしまうかもしれないが、新大久保で友だちと遊びたい! と今も我慢や努力をしている人がいる。そんな人たちのために、私が働きかけてできることはほんの少しもないが、新大久保の現状を伝えていくことで、この街の盛り上がりを誰もが素直に喜ぶことができる日々を、取り戻すことができればと願っている。
(2021.03.17 民団新聞)