掲載日 : [2021-04-27] 照会数 : 5607
止まらないヘイトクライム…人権NGO 法務省に緊急対策要請
[ 法務省に緊急対策を要請する「外国人人権法連絡会」の田中宏共同代表(写真提供は同連絡会) ]
文面に「死ね」14回 「コロナ入り」菓子…在日韓国人女性に脅迫郵便物
「川崎市ふれあい館」の館長を務める在日韓国人女性のもとに脅迫郵便物が届くなど、相次ぐ差別的動機に基くヘイトクライム(憎悪犯罪)にNGO「外国人人権法連絡会」が23日、被害当事者とともに法務省人権擁護局を訪れ、政府としての緊急対策を要請した。「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」から有田芳生参議院議員らが同席した。
脅迫郵便物は3月18日、「ふれあい会館 館長」宛に「日本人ヘイトを許さない会」の名前で届いた。文面は「死ね」を14回も書き連ねるなど猟奇的で、強烈な害意に満ち溢れている。さらに「コロナ入り残りカス」の入っている可能性のある菓子の空き袋も同封し、感染死を望む文言が記載されていた。
実際に開封した被害女性は「まさか」とは思いつつも、何度も手を洗ったという。犯人が周りにいるかもしれないと翌日からは防刀チョッキを着用している。この女性は「私が実際に刺されるなどなにかあってから残念ですと言われても遅い」と恐怖を語った。
ふれあい館には昨年1月初めに在日同胞の抹殺を宣言した年賀状が届き、同年1月末にはふれあい館を爆破するとの予告が届いていた。
外国人人権法連絡会事務局長の師岡康子弁護士は会見の席で「『ヘイトスピーチ対策法』ができてから5年。ヘイトクライムが止まらないのは、啓発活動だけでは限界があるからだ。ヘイトクライムを特別な対策が必要な問題として認め、実際に止めるための対策をとることを強く求める」と述べた。
有田芳生議員らはヘイトクライムに関する国としての実態調査と関連判例の収集、担当部署を設ける必要もあるとの考えを明らかにした。
一層の取り組み川崎市に求める…神奈川県弁護士会
【神奈川】神奈川県弁護士会は3月25日、剱持京助会長名で声明を発表。ヘイトスピーチなどが続く川崎市に「条例に基づくより一層の取り組み」を求めた。
声明は川崎市のさまざまな取り組みを評価しながらも、インターネット上の差別書き込みの削除要請に迅速に応えていないことから、被害者救済が不十分と指摘。きめ細やかな取り組みを推進するよう求めている。
20年7月の条例施行後もJR川崎駅前を中心に街頭宣伝によるヘイトスピーチが繰り返されているのが現状だ。川崎市内での公園では差別を煽動する落書きがしばしば発見され、インターネット上でも川崎に関連した多くのヘイトスピーチが散見されている。
(2021.04.28 民団新聞)