掲載日 : [2022-02-16] 照会数 : 3767
同胞の密航阻止取り締まり…GHQ占領統治期…民団鳥取「在日講座」報告
闇市の活動を警戒、日本政府と一体で
【鳥取】韓半島と日本の歴史を学ぶ市民に広く開かれた「第57回在日講座」(民団鳥取本部主催)が1月29日、鳥取市内の同本部会館であった。
テーマは1946年2月~48年、GHQ占領統治期の朝鮮人「密航」の監視。かつて県庁県史編さん室に在籍し、現在は地域史研究者として活躍する西村芳将さんが報告した=写真。
当時、山陰、中・四国地方を占領していたのは英国連邦占領軍(BCDF)。主要任務の一つが韓半島からの不法入国の管理だった。当時、GHQは解放直後に韓半島に帰国した朝鮮人が食糧難から日本に戻るのを禁じ、見つければ密航者として扱った。西村さんは「食べ物が豊富で朝鮮に近い鳥取は、中四国の中でも密航監視の重要な要だった」と指摘した。
これは闇市の活動を警戒する日本政府が朝鮮人への監視を強化したためだ。西村さんは県内の密航事例などを示し、執ような取り締まりが行われた実態をスライドや動画映像で紹介した。
「在日講座」生みの親、薛幸夫同本部常任顧問は「『在日』が故郷を目指す再渡航の途で『不逞鮮人』や『半島人』と呼ばれ、官憲に補捉される姿は胸を突かれた」と嘆息交じりに語った。
さらに戦後在日の処遇に言及した研究者、テッサ・モーリススズキ氏の「日本と占領当局の一体となった共同作業……そこには国籍を持たない者への人権の視点がない」との言葉を引用して怒りをにじませた。
(2022.02.16 民団新聞)