掲載日 : [2022-03-26] 照会数 : 9085
ヘイト根絶や処遇改善など5項目を公明党に要望
[ 公明党の石川ひろたか、伊藤たかえ両参議院議員に要望書を手渡す呂健二団長 ] [ 要望内について補足説明する呂健二団長 ]
民団中央本部は17日午後、永住外国籍住民の人権と処遇に関する公明党の山口那津男代表宛ての要望書を提出した。
この日、民団からは呂団長、徐元喆事務総長、李相哲生活副局長と在日法曹フォーラムの李宇海前会長、高英殻元会長らが衆議院第2議員会館を訪れた。公明党からは石川ひろたか参議院議員(党大阪府本部代表)、伊藤たかえ参議院議員(党女性委員会副委員長)らが対応した。
民団の要望は①ヘイトスピーチ・ヘイトクライムの根絶②永住外国人への地方参政権付与③地方公務員の国籍条項撤廃と教育公務員の任用に関して④韓国人元BC級戦犯への特別給付金支給法案⑤特別永住者と永住者の処遇バランス改善-の5項目。
ヘイトスピーチ・ヘイトクライムの根絶に関しては、2016年に施行された、いわゆる「対策法」に実効性を持たせるために、罰則に関する条項を追加し、インターネットや在日を狙ったヘイトクライムに対処する包括的な差別を対象とした改正を求めた。
あわせて、条例またはガイドラインを制定するよう、関係省庁から地方公共団体への働きかけや、人権教育の更なる拡充に向けた施策を求めている。
民団が運動として本格的に取り組んでから28年が経つ永住外国籍住民への地方参政権付与については、今後、日本社会が外国人の受入れを拡大していく上でも、付与は時代の要請であることを強調しながら、日本の開かれた政策の実現を強く求めている。
地方公務員の国籍条項に関しては、民団が2019年に実施した外国籍地方公務員の国籍条項と採用実態調査の結果を説明。これまで外国籍に門戸を開放していた職種が自治体の判断で閉ざされていたり、いわゆる「公権力行使」や「公の意思形成」に無縁の職種にまで国籍条項を付けている自治体が散見されていたことを指摘しながら、政府主導による外国籍住民に職種の開放を指導するよう求めた。
韓国人元BC級戦犯に関しては、約70人だった対象者がすでに全員他界したが、名誉回復のためにも日韓議員連盟が提出した「特定聯合国裁判被拘禁者特別給付金支給法」の成立を訴えた。
このほか、特別永住者と永住者の処遇改善については、①再入国期間と手続き②更新などの手続きを自治体で可能にするなど、永住者も特別永住者と同等にしてほしいと伝えた。
呂団長は、民団が古くから展開してきた在日外国人への待遇改善要望活動によって、日本社会が大きく開かれ、他の定住外国人にも恩恵が付与されてきたと強調。今や日本は多くの外国人が定住する時代になり、今一度、多文化共生社会の実現に向けた政策を考慮してほしいと伝えた。
弁護士である伊藤議員は自身も参加している日弁連のシンポジウムで外国籍の「調停委員」任命を求める活動を展開したことをとりあげ、「地方公務員の採用に関しても同様だと思うし、積極的に取り組んでいきたい」と述べた。
石川議員も「有識者検討会で真の共生社会実現に向けた中・長期的なアクション化をとりまとめる段階にある。民団の皆様の意見をしっかり聞きながら、日本に居住している外国人の生活向上に反映させていきたい」と約束した。