コロナ禍で免税店に打撃…韓国品スーパーに転換
東日本大震災当時、日本の電力供給に問題が生じると、韓国から乾電池を輸入するなど防災グッズの販売を広げた。
コロナ禍となった一昨年は韓国から消毒アルコールやマスクを製造・販売していた。
コロナ禍で観光客の激減によって主力事業だった免税店が大打撃を受けると、新しい収益モデルを発掘した。
人気グループの「BTS」や映画「パラサイト」を皮切りに始まった「第4次韓流ブーム」は、未曾有のコロナ禍に入った2020年からは「おうち時間」「おうちグルメ」など、ステイホームにより、「愛の不時着」「梨泰院クラス」などが追い風となった。
そんな2019年9月、23店舗あった免税店に見切りをつけ、韓国商品専門のスーパー「イエスマート」を設立した。まるでこの事態を予想していたかのタイミングだった。
本店は以前から韓流専門店が建ち並ぶ、最大の激戦区、新大久保のコリアンタウンに置いた。その後、急成長し、現在、札幌から沖縄まで主要都市14店舗に拡大した。さらに近く、九州を中心に8都市にオープンを予定している。
張会長は「コロナ禍のため、韓国旅行に行けない韓流ファンが殺到し、成長しています。それまでの主力事業だった免税店でのノウハウがあったからこそ、各都市への店舗拡大はスムーズに、そしてスピーディーに進めることができました」と自信を見せた。
顧客の日本人客は東京、大阪などの大都市の場合は75%、福岡や札幌などの地方は95%を超えている。店舗だけでなくネット通販も好調だ。サイトも写真映えする商品の陳列など、女性受けのデザインを考慮しているほか、販売している商品も他店と差別化した。
韓国ドラマを見て「あれ食べてみたい」「どこで売ってるんだろう」とのニーズに合わせて、韓流ファンが求める食品を小分けして揃えたことで一人暮らしの女性たちを中心に支持を得ている。
世界韓人貿易協会長に就任…韓国中小企業の海外進出を支援
昨年年11月1日、ワールド・オクタ(世界韓国人貿易協会)の第21代会長に就任した。
ワールド・オクタは64カ国138の支会、正会員約7000人、次世代会員2万3000人あまりで構成している在外同胞経済団体だ。
在日同胞の会長としては82年9月から92年9月まで第2~6代を務めた金容太氏(在日韓国人貿易協会会長等を歴任)以来、30年ぶりとなる。
03年にワールド・オクタに加入して以来、東京支会事務局長や東京支会長を務め、本部次世代担当副会長、首席副会長を歴任した張会長は「世界の同胞経済人が跳躍するためには、疎通と和合を土台に、絶え間ない革新と成長が大切。韓国の経済領土拡大へ寄与していきたい」と抱負を述べている。
ワールド・オクタは昨年40周年を迎え、その記念すべき時に会長に就任した。
公約として、①会員請願掲示板の設置②未来ビジョン委員会の設置③常任理事への特典拡充④和合型執行部の構成⑤専用アプリの改善⑥グローバル・マーケター支援センターの設立-などを掲げている。その中でもグローバル・マーケターの養成に最も注力する構えだ。
韓国中小企業の海外進出を積極的に支援していくため、輸出ヘルパーを多数輩出するための「グローバル・マーケタースクール」を開設する。
現在450人余りのグローバル・マーケターと世界138の支会を活用して、韓国中小企業の海外バイヤーを発掘する予定だ。
ワールド・オクタの基本活動は韓国製品の海外販売拡大、いわゆる愛国運動でもある。かつて民団でも1990年代初旬に展開した「BUYコリアン運動(韓国製品購買運動)」と似ている。
張永軾会長の新しい事業として、「週間AR(拡張現実)ホームショッピング」も計画している。
オクタホームショッピングは、会員が共有するプラットフォームで放送される商品紹介だ。
毎週、韓国中小企業の商品を説明する映像を撮り、世界中のオクタ会員が視聴して輸入を拡大させる予定だ。
世界韓人貿易協会会長に就任した張永軾前東京韓商会長に聞く<上>
(2022.03.16 民団新聞)