掲載日 : [2022-04-14] 照会数 : 4410
学校行政の裏方31年…東京韓学庶務室長の姜呈和さん定年退職
在日社会との接点に
「庶務室長」として東京韓国学校を陰で支えてきた「縁の下の力持ち的存在」だった姜呈和さんが3月で定年退職した。姜さんに自身の愛情と汗が染み込んだ学校生活31年間を振り返ってもらった。
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庶務室長は児童生徒を直接指導する教師ではないが、韓国と日本の教育制度をよく理解しながら学校行政をサポートする裏方役といえる。「在日韓国人社会と学校の接点になり、父兄や理事会を含む学校構成員の懸け橋になる重要な席だった」(姜さん)。
重責を担うにはまず、「包容の精神」が必要。時には忍耐も求められたという。このような役割に慣れていなければ庶務室長になれないというのが姜さんの実感だ。姜さんは「むしろ私の人生で最も私らしく生きたと自負できる時間をつくってくれた」と自負している。
1961年韓国釜山生まれ。淑明女子大学で体育教員免許を取得した。自身の能力を在外国民教育に捧げようとしたものの90年当時、東京韓学は教員に欠員がなく、職員募集のみだった。若干の迷いはあったものの教育現場での奉仕には変わりがないと応じた。「後悔はない」
91年から勤務スタート。2011年3月、東日本大震災に見舞われた。春休み中とはいえ飲料水などが不足し、児童生徒につらい思いをさせたことが庶務室長としては心残りだったという。
なによりも辛い思いをしたのは、2011年4月の開校をめざしていた第2東京韓国学校の設立事業に歯止めがかかったこと。幼稚園から高校まで併設するという同構想案は関東地区の在日韓国人家庭を対象とした事前のアンケート調査でも圧倒的な賛同を得ていたが、韓日間の外交的な軋轢から頓挫した。
姜さんは義務教育の無償化も含めて「未完の課題」として置いていくことになり、「よりよい教育環境をサポートできなかった」と残念そう。
残された課題は後進に託すことにした。
「民族教育の産室として教職員一人ひとりの知恵と努力によるシナジーを発揮すれば民族教育、在外国民教育の未来は明るいと確信する」
(2022.04.15 民団新聞)