新しい在留管理制度の導入に伴い、特別永住者も来年から順次、現在所有している外国人登録証明書を「特別永住者証明書」へと変更していくものと見られている。ただし、地方自治体からの更新案内はあまり期待できないようだ。本紙が全国の政令指定都市を対象に調査したところ、「送る」と回答したのはわずか半数にとどまった。「うっかり」すれば重い罰則が待っているので注意が必要だ。
遅延に行政罰と刑事罰
16歳以上の特別永住者が持つ旧外国人登録証明書は一定期間、「特別永住者証明書」とみなされる。次回確認(切替)申請期間が2012年7月9日から3年を経過する日までに到来するのであれば2015年7月8日まで。それ以外であれば、次回確認(切替)申請期間の始期である誕生日まで。
更新を遅延したことによるペナルティーは「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」と「非常に重たい」。
同胞集住の東大阪市では、「忘れて切れたら大変なことに。期限が切れる前に通知する」と前向き。名古屋市でも「あくまでも住民サービスの一環」と当然送るとの姿勢だ。熊本市は「システムをいじくるのに若干の費用はかかる」としながらも、更新案内を送ると明言した。
これに対して大阪市は、「送る方向で考えているが、国の動向を見ながら検討中」と煮え切らない。東京では有数の外国人集住地である新宿区が消極的な対応だった。そのほかの政令指定都市を見ても、「本来は国の仕事」と突き放した対応が目立った。
川崎市は、「従来のように通知してほしいとの要望はある。技術的にも可能だ。だが、なぜ特別永住者だけなのかという説明が必要で、慎重にならざるをえない」という。
札幌市は「カードの管理は本来、入国管理局の仕事。市役所はカードの発行と事務の取り次ぎだけ。国に更新案内を要望している」と語った。
個別通知めざす…法務省が予算要求
法務省入国管理局入国在留課在留管理業務室の山浩一補佐官は、特別永住者を対象に個別の通知を出す方向で今年9月、630万円の予算を要求したことを明らかにした。また、「永住者については大変順調。新法施行から3年の期限の半分もたっていないのにもう半分以上が新しい在留カードに切り替えた。永住者への個別通知については、今後の切り替え状況を見守りたい」とも話した。
(2013.11.20 民団新聞)