掲載日 : [2010-10-27] 照会数 : 10456
フラッシュ同胞企業人<56>府や市から絶大の信頼
[ 1935年京都生まれ。市立西京高校卒。1962年京栄水道工業所設立。2男2女孫10人。 ]
自治体認定の管工事事業者
京栄水道 兪昌根会長
京都府や京都市認定の水道管工事が主な事業。現在、府の管工事工業協同組合連合会や(社)全京都水道工事業共済会の理事長をはじめ、建築設備高等技術専門校校長など、水道工事関連のさまざまな役員を務める。
また、厚生労働大臣や京都府知事などからの表彰は数多く、今年4月には半世紀にわたり安全で安心な水の供給に貢献したことが認められ、日本政府から瑞宝単光章を受章した。今月11日に250人が集まり、叙勲を祝った。「不器用なので、一筋の道を歩んできただけ」と述べ、感謝の意を表した。
官公庁の仕事が全体の5割以上を占め、昨年度売上額は約8億円。社員は約30人。
不渡りを教訓に
京都生まれ。高校卒業に際して大手3社を受験したが、学科試験は通っても、書類審査や面接で不合格。「日本の会社への就職は難しい。なにか技術を持たなければ」と考え、水道工事会社に就職した。
1962年に兄を含め4人で京栄水道工業所(京栄水道の前身)を興した。60年代から70年代にかけては折からの住宅建設ブームで、それに恩恵を受けていた業界関係者は、官公庁の仕事は採算が合わないと、一時は敬遠した。
「民間の取引先が1カ月間に3件も不渡りを出した体験があり、資金繰りに苦労した。その教訓から、利幅が少なくても、確実な官公庁の仕事に関心が向いた。当時は革新系の知事や市長だったこともあって、外国籍ながら入札に参加できたのは幸運だった」
水道局指定制度の指定を受けたのは、外国人として初めて。最年少(27歳)でもあった。これを契機に、市の公共事業にも参画していく。
「水道工事関連に従事する同胞は多いが、そのほとんどが下請けや孫請け。京都市内で自治体の公認を受けているのは5社にすぎない」
市営住宅のメンテナンスも担当するようになる。多いときで全体の3分の2を占めた。「365日間、24時間で対応しなければならず、責任が重い」。当番で夜も出動できる体制を敷いている。京都市の公園施設も管理する。
台風や豪雨、雷など、自然災害のときは大忙しだ。「以前、夕立の時は社員を待機させたものだ」。
長男が社長、次男が常務と、一家でスクラムを組む。次男の炳秀さんは「全管連青年部協議会」の会長も務めている。
恩返しの奨学金
中学生のときに父親が亡くなったため、高校の授業料が払えず、奨学金のお世話になった。「当時のことは、今でもとても感謝している」。恩返しに京都市に少しずつ寄付、累計1200万円にのぼった。
75歳の今も現役。「社員には労働災害だけは起こさないよう、安全第一を最優先させてきた。メンテナンスで一般家庭に入ることが多いため、きちんとした服装とあいさつができるよう心がけさせている」
趣味は鉄道車両の模型作り。「作ることに没頭できるのがいいから」
◆京栄水道(株)京都市右京区西院金槌町11(℡075・311・0521)
(2010.10.27 民団新聞)