掲載日 : [2010-11-03] 照会数 : 6402
<南北離散家族再会>拡大・定例化先送りに どこまでも道具視
[ 2泊3日の対面行事を終えて〞離別〟を悲しむ父子(1日、金剛山面会所) ]
北側 「大規模援助」引き出し狙い
南北間での離散家族再会は、北韓側の政治的カードに悪用され不定期にしかも小規模で実施され、すべての再会申請者が対面を果たすには今後「80年以上」かかるといわれている。こうしたなかで10月26、27の両日、北韓・開城で開かれた南北赤十字会談で、韓国側は離散家族の苦痛を少しでも緩和するために対面行事の拡大および定例化を促した。だが、北側は、「(その問題は)コメと肥料を提供すれば解決する」と、またも大規模支援を交換条件として示した。このため、11月25日に再協議することになった。会談場所は未定。
北側代表団団長の崔成益朝鮮赤十字会中央委員会副委員長は27日の会談で、前日に提起したコメ50万㌧と肥料30万㌧の支援要求に対する韓国側の態度表明を求めた。
また、コメや肥料以外にも北側は、「離散家族再会の定例化を実現させるには、再会場所の問題が解決されなければならない」と主張し、「金剛山観光の再開について話し合う南北当局間の実務協議を1日も早く開催すべきだ」と要求した。
これに対し韓国側は、大規模な支援は赤十字レベルでは実施できず、当局で検討する事案だと説明。あわせて、再会の定例化、離散家族の生死・住所確認、手紙交換、韓国軍捕虜・北韓拉致被害者の問題を話し合うため、11月25日に韓国側地域の京畿道・ 山で赤十字会談を開くことを提案した。金剛山観光問題については、「離散家族再会は人道主義的観点から無条件で実施せねばならず、金剛山観光と結び付けてはならない」と改めて強調した。
大韓赤十字社によると、88年からこれまでに対面を申請した約12万8000人中、約3分の1(4万4000人)が死亡した。残る生存者8万4000人も、そのほとんどが高齢者だ。毎年3000人以上もの申請者が対面を果たすことなく亡くなっている。
このため、韓国代表団団長の金龍賢大韓赤十字社事務総長は今回の会談で、離散家族対面の定例化と関連し▽来年3月から冬季(12月〜翌年2月)を除き毎月1回定期的に南北100人ずつが金剛山地区の離散家族面会所で対面▽以前に対面を果たした離散家族の毎月50人ずつ再対面▽毎月5000人ずつの生死・住所確認▽来年4月から80歳以上の高齢者の故郷訪問事業実施▽北韓拉致被害者・韓国軍捕虜問題の解決に向けた生死確認などを提案した。
だが、北韓は、「再会定例化」という韓国側の表現ではなく、「再会正常化」という表現を使い、ソル(旧正月)や秋夕(中秋節)などの名節を基本に、年に3〜4回、それぞれ100人規模で対面を実施することも可能との考えを示し、映像対面やビデオレターの交換も並行して行うことを修正提案。その見返りとして、金剛山観光の再開とコメ50万㌧、肥料30万㌧の支援を要求して譲らなかった。
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1年ぶりの対面事業 金剛山で2泊3日
家族同士の宿泊未だに許されず
【ソウル】13カ月ぶりの北韓・金剛山での南北離散家族対面行事が10月30日から始まり、まず北韓側再会申請者97人(同行の家族13人を除く)が、約60年ぶりに韓国に住む家族436人と再会を果たした。しかし、これまでと同様に厳しい制限・監視下の対面で、家族同士の宿泊は許されなかった。韓国側の家族は1日午後、2泊3日の行事を終え金剛山地区から韓国に戻った。
3日からの第2次行事では、韓国側の再会申請者96人(同行の家族45人を除く)が北韓側の家族207人と対面する。
(2010.11.3 民団新聞)