掲載日 : [2020-01-16] 照会数 : 6995
『未完の独立宣言』刊行…在日本韓国YMCA
2・8から100年を記念…今後の課題浮き彫り
在日本韓国YMCAは『未完の独立宣言』を昨年末、刊行した。2・8独立宣言から100周年を迎え、同YMCA主催により東京と大阪で行われた連続研究会、シンポジウムの議論を増補、収録したもの。
連続研究会の座長を務めた李省展さんは本書のタイトルについて「序」で次のように記している。
「2・8独立宣言には、現在に生きる私たちにとって、いまなお通奏低音としてと力強く心に響くものがある。帝都東京で叫びをあげた若者たちの声に現代の私たちも応答しなければならない。その意味で私たちは本書を『未完の独立宣言』としたのである」
3部構成。第1部で近現代史のなかでの2・8独立宣言、3・1独立運動に焦点をあて、その歴史的意義を明らかにしている。
小野容照さん(九州大学准教授)は東京シンポジウムで「日本留学のメリットは朝鮮半島にとどまっていては出会うことのない日本人、中国人、そして朝鮮と同様に日本の支配下にあった台湾人とも親交を深めることができる点にもあった」と指摘。李さんも「帝国の中枢・東京における多様な、グローバルなネットワークがその背景にあったことも、あわせて記憶されねばならない」と強調した。
第2部は主としてキリスト教的文脈から2・8独立宣言と3・1独立運動を論議。第3部で2・8から100年を迎えた現在、歴史認識、歴史教育、植民地支配責任、記憶の継承と未来への展望をキーワードに韓日市民社会の共同課題はどこにあるのかを探った。
同YMCAは毎年2月8日に2・8独立宣言記念式典を挙行している。100周年を前に2017年6月には「2・8研究会」を立ち上げ、18年11月まで8回の連続セミナー。19年には100周年記念式典の翌日に東京、同じく2月15日は大阪で国際シンポジウムを開催してきた。
定価2500円(+税)。新教出版社(03・3260・6190)。
(2020.01.15 民団新聞)