掲載日 : [2022-11-23] 照会数 : 3571
「苗字の違いは私の宝物」在日4世が体験吐露
[ 「第44回少年の主張全国大会~私の主張2022~」の金美怜さん(YouTubeキャプチャー) ]
【北海道】中学生を対象とした「第44回少年の主張全国大会~私の主張2022~」(国立青少年教育機構主催)に北海道代表として在日韓国人4世の金美怜さん(江別市立大麻東中学校3年)が「込められた意味」で出場を果たした。北海道からの代表出場は16年ぶり。
北海道代表として出場
第44回少年の主張全国大会~私の主張22
父親の託した思い胸に
金美怜さんは人とは違う苗字のために友だちからからかわれることが多かった。心のなかでは「どうして私だけ違うの」といった不満が日ごろからくすぶっていた。
ある日、父親の金南賢さん(55、民団北海道本部監察委員長)も中学生の時、美怜さん以上の被差別体験を受けていたことを当時の「生活体験文」を読んで知る。美怜さんの叔父は耐えられず、自殺しようとした。南賢さんは「それでも苗字を変える必要なんてないと思ってる。堂々と生きなさい」と淡々と諭した。
美怜さんはこの時、南賢さんが苗字に込めた隠された意味を初めて理解し、前向きに生きていこうという決意を固めた。美怜さんは人との違いをかけがえのないプラスに捉えて生きていくと、「私の主張」を次のような言葉で結んだ。「私には他の人よりも広いルーツがある。それは、何にも代えられない、私の宝物」。
美怜さんは中学2年生の夏、学校に提出した「生活体験文」で自らの心の内を明かし、地元のタウン誌でも紹介されていた。それが教育委員会の目に留まり、3年生になって発表したのが今回の「私の主張」だった。
南賢さんは「昨今の日韓関係を鑑みると、私たち家族の想像を超えて、多くの人に支持されたことに正直驚いている。とてもうれしい誤算だった。日本の人にも多く読んでもらい、国籍やいじめの問題を考えてもらうきっかけにしてもらえることを願っている」と話している。
少年の主張全国大会は79年の「国際児童年」を記念して始まった。今年は全国3741校から39万人を超える中学生が参加した。全国大会には12人が出場。11月1日からWEB開催された。13日の審査の結果、美怜さんには記念品が贈られた。
(2022.11.23民団新聞)