掲載日 : [2022-05-25] 照会数 : 2592
「特集・孫雅由の小宇宙」版画、ドローイング 埼玉県立美術館所蔵品展
[ 河正雄さん夫婦(会場で) ]
河正雄さんが寄贈
【埼玉】さいたま市浦和区の埼玉県立近代美術館で所蔵品展「特集・孫雅由の小宇宙」が開催されている。哲学的な思索と共に制作を続けてきた同作家の版画、ドローイングなどの小品群からその思考と実践を探るというのがコンセプトだ。これらは県内在住の在日2世、河正雄さんが贈った作品の一部だ。8月28日まで。
河さんは1960年から在日同胞作家の美術作品を中心にコレクションを重ね、韓国と日本の美術館などに合わせて1万2000余点を寄贈してきた。なかでも孫雅由は自身のコレクションのなかでも群を抜いて数が多く、愛着のある作品ばかりだという。今年で63年と、人生において最も長く暮らしてきた埼玉県には長年所蔵してきた孫雅由の版画57点、ドローイング119点、関連資料3点を中心に計181点を選んだ。
孫雅由は大阪生まれの在日同胞2世。66年、美術家を志し上京。「もの派」の作家で同じく在日2世の高山登に師事した。68年に多摩美術大学に入学し「自らの表現様式」を模索、有為転変の「絵画の表現」を試みた。76年に油彩作品による初個展、77年には版画作品による個展を開催。以後、この2つのジャンルを中心に活躍したが、02年に死去した。河さんは生前、親交を重ねてきた。
なお、河さんがこれまで寄贈したコレクションは光州市立美術館で開館30周年記念として7月3日まで開催中。また、霊岩郡立河正雄美術館でも「寄贈の美学1・在日作家たち」とのタイトルで10月16日まで。