掲載日 : [2021-04-14] 照会数 : 9720
「在日」の姿、生き生きと 日本の食文化と融合も コリアタウン
[ コリアタウンを案内する安聖民さん ]
[ 高田商店の店頭。右は金鎮九代表のオモニ ]
「大阪キムチ物語」配信好評、大阪文化院 ホームページ
大阪韓国文化院(院長 鄭泰九)は、大阪市生野区「コリアタウン」の在日韓国人の姿を通して、韓国のキムチが大阪で広がっていく過程を調査したドキュメンタリー映像「大阪キムチ物語(約15分)」を企画、制作し、同院ホームページで配信している。
同院によると「大阪キムチ物語」は、「キムチが大阪で広がっていく過程を追跡するとともに、つらい過去を乗り越え活気あふれるコリアタウンを作り上げた在日韓国人たちの過去と現在を紹介する目的もあった」と話す。
映像では大阪生まれのパンソリ唱者、安聖民さん、特定非営利活動法人コリアNGOセンターの金光敏事務局長、立命館大学食マネジメント学部の朝倉敏夫教授の3人が、コリアタウンにおけるキムチの特徴、本場キムチと日本のキムチの併存の過程などについて語っている。
金事務局長は、「現在、コリアタウンではトマトキムチなどはサラダ感覚で人気を博している」と指摘。また、日本の伝統野菜である田辺大根や大阪かぶら、泉州の水ナスなどをキムチに漬けるのもコリアタウンの特色になっているという。
これらは伝統的な韓国のキムチの漬け方とは異なるが、「伝統的な韓国の食や味の文化と日本の伝統野菜がコラボレートしている。そんなことを確認できる世界でも珍しい市場ではないか」と語っている。
安さんは、コリアタウンを歩きながら、店主たちに声をかける。コリアタウンでいちばん古い店として知られる高田商店の金鎮九代表の話は印象的だ。金代表の姪によると、店は「ハルモニが日本に来て、自分が子どもとみんなで生きるために始めた」という。
金代表の母親が店を始めたのは1958年。現在の建物で商売を始めたのは1962年からだ。金代表は「当時はニンニク臭いとか言われ、キムチはあまり食べなかった」と当時を振り返りながら、「今は日本の方も若い人もキムチを食べる」と話す。
安さんは、韓国政府と大阪府が協力をして、コリアタウン内の公園に建設されることになった公衆トイレの建設現場も紹介している。
「大阪キムチ物語」は音声(日本語)、字幕(韓国語、日本語)。問い合わせは同院(06・6292・8760)。
(2021.04.14 民団新聞)