掲載日 : [2021-08-04] 照会数 : 4360
【新刊紹介】『李健煕の言葉』 企業の「種」となり「実」に
韓国最大の財閥企業サムスングループの李健煕元会長が生前に語っていた発言と語録を抄録した。そのビジネス哲学がサムスンのすべての経営戦略、改革、挑戦、発展計画の基盤としての「種」となり、「実」となったものと筆者は推察しているからだ。
李氏は87年、サムスン(当初は三星)グループ会長に就任。真空管テレビの時代に半導体の将来性を語り、携帯電話の商用化以前から「もうすぐ1人1台携帯電話を持つ時代になる」と喝破していた。「アナログ時代には100年の技術を持つ日本に決して追いつけないが、デジタルではリードする」とも語っていた。
事実、サムスンのスマートホン「Galaxy」シリーズはアップルの「iphone」シリーズを抜いて現在も世界シェア第1位を誇る。
その言葉の数々は「知る(知)、行う(行)、人を用いる(用)、教える(訓)、評価する(評)」といった徳目の実践に集約されている。
午後5時までに仕事を片づけて自己啓発に励めとの「命令」はコロナ禍のテレワークにも通じる。上っ面ではなく、物事の本質を理解するため「なぜ?」という質問を5回は繰り返せという教えはあらゆる職務に生かせる。
日本企業から学ぶべきことはまだたくさんあると協力関係の必要性も説いている。
ミン・ユンギ編著、チョン・ウンスク訳、韓国のスターブックス社から刊行。1650円、発行は双葉社(03・5261・4818)。
(2021.08.04 民団新聞)