掲載日 : [2022-11-23] 照会数 : 3488
朝鮮人虐殺否定せず 関東大震災 史実誤認メール陳謝
[ 都庁を訪れ、関東大震災直後の朝鮮人虐殺の史実について認識をただす鄭文吉事務局長(右) ]
東京都は人権企画展で関東大震災時の朝鮮人虐殺に触れた作品の上映を認めなかったことについて、朝鮮人虐殺を決して否定していないと述べ、陳謝した。15日、都庁を訪れた民団東京本部の鄭文吉事務局長と鄭浩上事務副局長(総務兼生活部長)に対し、都人権部の担当責任者が明らかにした。
東京都人権部 民団東京に見解
映が禁じられたのは「In‐Mates」(約26分)。1930~40年に都内の精神病院に入院していた同胞2人の診療記録をもとにラッパーで詩人の在日韓国人FUNIさんが当時の彼らと今の在日韓国人が抱える葛藤や苦難を表現した。作品には「在日朝鮮人の歴史」を専門とする外村大東京大学教授が登場し、「日本人が朝鮮人を殺したのは事実」と説明している。
都人権部の職員は外村教授の発言について「朝鮮人虐殺を『事実』と発言する動画を使用することに懸念がある」との認識を示し、都人権啓発センターに上映とイベントを禁じる通知のメールを送ったというもの。
これは小池百合子都知事が朝鮮人犠牲者を悼む毎年9月1日の式典に追悼部文を送っていないことが背景にあると見られている。事実、この職員は「都ではこの歴史認識について言及していない」と伝えたとされる。
都人権部の担当責任者らに面談した民団東京本部側は「関東大震災後に起きた韓国人虐殺の史実をどう認識しているのか」と見解を求めた。
これに対し都人権部は「都の学校教科書などでその史実は記されている」と認め、「都として朝鮮人虐殺を決して否定していない」と明らかにした。さらに、職員が送ったメールについては「誤解を招いた」として陳謝した。
最後に鄭事務局長は都が2018年に成立施行した「ヘイトスピーチ規制条例(人権尊重の理念の実現を目指す条例)」を評価しながらも、日本が国連の「ジェノサイド条約(集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約)」を批准していないことに遺憾の意を示した。
(2022.11.23民団新聞)