掲載日 : [2010-10-20] 照会数 : 12067
金剛学園出演「歌垣」が結ぶ韓日中 平城遷都祭「花いちもんめ」一緒に
[ 日本、中国のこどもたちと一緒に歌う金剛学園の児童
]
【奈良】「平城遷都1300年記念祝典」が8日、奈良市内の平城宮跡第1次大極殿前庭で開催された。楽劇「平城(なら)・アジア友好の架け橋」の幕開けを飾る「はじまりの歌」では、韓日中3国の子どもたち約60人が各国のわらべ歌を1曲にまとめ、各言語で歌い踊った。3つのわらべ歌は驚くほどの共通性を示し、妙なる三重奏となって会場に響きわたった。
「まつぼっくり少年少女合唱団」(奈良市)が取り上げたのは「花いちもんめ」。中国籍の子どもたちが多く在学している大阪府大東市立灰塚小学校の児童も中国貴州省の少数民族、笛(ミャオ)族に古くから伝わる「花いちもんめ」を中国語で。私立金剛学園(大阪市)の児童14人は、「花いちもんめ」とルーツを同じくする韓国の伝統的な歌遊び「我が家になぜ来たの」を韓国語で歌い踊った。
金剛学園教諭の金娟求さんは、子どもたちが手をつなぎ、掛けあいの歌を歌うこの「花いちもんめ」は、古代の伝統的な「歌垣(うたがき)」を連想させるという。歌垣とは男女が掛けあいで恋の歌を歌うもので、もとはといえば、中国から韓国を経由して日本へと伝わったものだ。笛族は伝統的な歌垣をいまも継承している。
総勢60人。わらべ歌の歌詞こそそれぞれ違うものの、1曲にまとめて歌い踊ったため、全体としては差異より共通性のほうが際立っていた。
金剛学園の邵元柱校長は、「祝典に出演した金剛の子どもたちのなかで韓国語を不自由なく話せるのは数人だけでしたから、何回も練習したのでしょう。立派でした。本当に胸が熱くなりました」と話していた。張英子同校教頭も、「韓国、中国、日本の子どもたちが何回も掛けあいの歌を練習しながらお互いを理解しあい、親睦を深めていく姿を見て、これからの私たちがあるべき姿を見いだした思いでした」と語った。
蔡完虎君(6年)は、「祝典に参加して韓国、日本、中国の3国が昔のように仲良くなれればと思いました。拍手をもらったときはなんだか分からないけれど、感動して涙が出てきました」と感激していた。朴雅覧さん(5年)は「練習は8月から始まり、最初はあまりうまくできなかったけれど、繰り返していくうちどんどんうまくなりました。自分の出番になると胸がどきどきしました」と、祝典参加の喜びを語っていた。
金剛学園児童の記念祝典出演は民団大阪本部の推薦で実現した。祝典には韓国と中国をはじめとする54の国の大使ら1700人が参列。同校からは金漢翊理事長と邵校長が招待された。
天皇 百済とのゆかり語る 歴史認識改善に期待感
祝典には天皇、皇后が出席。5分のあいさつの中で論語や仏教など父祖の地、百済とのゆかりについて次のように触れた。
「平城京に在位した光仁(こうにん)天皇と結ばれ、次の桓武天皇の生母となった高野新笠(たかのにいがさ)は、続日本紀によれば百済の武寧王を始祖とする渡来人の子孫とされています。我が国には多くの国から渡来人が移住し、我が国の文化や技術の発展に大きく貢献してきました」。
金剛学園の金漢翊理事長は「天皇の言葉に在日韓国人の一人として励まされました。これが日本人の歴史認識を変えるきっかけになればと願います」と感想を述べた。
(2010.10.20 民団新聞)