日本人に韓服、同胞に和服
15坪ほどのこじんまりとしたスタジオ兼写真館が、「思いで作りのお手伝い」をコンセプトに、地域の信頼を築きつつある。経営するのは夫妻の文光秀さん(55)と李香順さん(44)。昨年12月に東京・新宿区の東京韓国学校近く「あけぼのばし通り」に店を構えたばかり。
町内会にも貢献
メーンは韓服衣装写真。韓国と日本でデザイナー修業を積んだ李さんが総合コーディネーターを務め、文さんはカメラ役。2人の息はぴったりだ。
ただのレンタルにとどまらない。李さんが確かな目で服を選び、着こなしから歩き方までアドバイス。メーキャップやヘアメイクまでトータルにサポートすることで他店との差別化を図った。
需要が多いのは子どもの初めての誕生日を祝うトルチャンチ、七・五・三、成人式など。こうした人生の節目には、本人ばかりか家族そろってかけがえのない思い出をつくってもらおうと、アイデアをこらしたアルバムをつくっている。
最近は韓流ドラマの影響からか、宮廷衣装を希望する日本人のお客さんが目立つ。逆に新定住の韓国人からの「日本滞在の記念に和服を着てみたい」というリクエストにも応えている。いずれも週に1回のペースで依頼があるという。文さんは「在日の私にとっては韓国も大事だが、日本も大事。この店で双方のお客さんの心と心をつなぎ、写真を媒介にした韓日親善の情報発信基地となるのが目標」と話す。
地元町内会の祭りにはカメラを手に1人ひとりの表情をカメラに収め、店頭に展示して住民から喜ばれている。25日のハロウィン祭では、依頼を受けて子どもたちの仮装衣装を撮影した。
このほか、生まれたばかりの赤ちゃんの手や足の型を立体的なオブジェとして残すこともやっている。株式会社OMOIDE(03・6457・4554)。新宿区住吉町9‐7。
(2014.10.29 民団新聞)