掲載日 : [2018-07-11] 照会数 : 8230
反ヘイト裁判に勝利…大阪高裁も「保守速報」を「複合差別」認定
[ 支援者から花束を贈られる李信恵さん(右)と弁護団 ]
【大阪】インターネット上の差別的な投稿をまとめた記事を掲載したまとめサイト「保守速報」の男性運営者に対し、大阪高裁は6月28日、一審の大阪地裁判決を支持し200万円の損害賠償を命じた。
運営者は在日同胞のフリーライター、李信恵さん(46、東大阪市)を差別し、侮蔑する投稿を編集したうえで2013年7月から1年間、匿名掲示板「2チャンネル」などに掲載した。このなかには「ババア」、「ブス」といった女性差別にあたる内容や「違法移民」、「帰ってくれ」といった日本の地域社会からの排除をもくろむ人種差別的な表現も含まれている。李さんは「精神的苦痛を受けた」としてこの男性に2200万円の損害賠償を求めていた。
控訴審では投稿サイトに書き込まれた内容を引用したまとめサイトが名誉棄損にあたるかどうかが争われた。
江口とし子裁判長は、保守速報について「人種差別、女性差別の複合差別に根差すもので非常に悪質なもの」とした一審の判断を踏襲。さらに「記事は扇情的で、新たな読者を得た。元の掲示板とは独立した個別の表現行為」と踏み込んだ判断を示した。
「判決糧に闘う」…李信恵さんがコメント
私は講演会でよく、差別をなくすためには、人権教育などのワクチンが必要という話をしています。この裁判の判決もそのワクチンの一つになったらと願っています。小さな勝利ではありますが、この勝利がだれかの痛みを癒すものや、未来への光になれば。そして、この判決は自分自身にとってゴールではなく、差別のない社会をつくるための新たなスタートだと思っています。
今回は民族差別であり、女性差別でもある「複合差別」について闘いましたが、LGBT差別や部落、障がい者、沖縄やアイヌに対する差別など、多くの課題が残っています。あらゆる差別をなくすため、この先もみなさんと一緒に。
(2018.07.11 民団新聞)