掲載日 : [2022-06-24] 照会数 : 4363
「群馬の森」公園、追悼碑存続の危機に…最高裁上告申し立て棄却
[ 最高裁の決定に抗議する角田義一弁護団長 ]
群馬の県有地「群馬の森」(高崎市)に建つ韓国・朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑「記憶 反省 そして友好」が存続の危機に直面している。最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)が15日、「追悼碑を守る会」の上告受理申し立てを棄却し、門前払いしたためだ。建立から10年を経て、県が追悼碑の設置許可更新申請を不許可とした行政処分にお墨付きが与えられたことになる。
東京で抗議集会
「追悼碑を守る会」などの支援団体が逆転勝訴を信じて東京で準備してきた20日の決起集会は急きょ、最高裁への抗議集会に様変わりした。
角田義一弁護団長は更新許可不許可処分が憲法の保障する表現の自由、言論の自由に違反するとの主張に対する判断を避け、上告申し立てすら受理しないとの決定に憤りをあらわにし、「最高裁の裁判官も劣化したものだ。慰謝料の請求をしたいくらい」と述べた。
最高裁の決定が出たことで、群馬県は今後、代執行で追悼碑の撤去を求めてくるものと予想される。角田弁護団長は「任意の撤去には絶対に応じない。もし、群馬県がめちゃくちゃなことをやれば日韓、日朝の関係で国際問題に発展するだろう。まずは知事の存念を聞きたい」と徹底抗戦の構えだ。
追悼碑は群馬県議会が全会一致で趣旨採択したことにより、2004年に除幕式と第1回追悼集会が行われた。
しばらくして、一部来賓や参加者が「強制連行」という言葉を使ったことが保守団体の知るところとなり、ネットでは「自虐史観」「反日だ」といった非難の声が飛び交うようになる。抗議が県に殺到、保守団体と公園管理職員の間でもみあいになり、警察が出動するという事態に。
県は「政治的行事及び管理をしない」という許可条件に違反するとして「守る会」の求めていた設置期間更新申請を不許可とした。一審の前橋地裁は裁量権の逸脱を認め、県の不許可処分を取り消したが、東京高裁はこれを覆した。
戦時期の強制連行を全国レベルで研究している竹内康人さんは「歴史否定主義が日本を覆っている。公的施設の前で騒ぎを起こせば追悼碑を撤去できる前例となってしまった。不当な判決を超える取り組みが必要」と呼びかけた。
また、一橋大学の田中宏名誉教授は「群馬だけの問題ではない」という。悪しき前例となって全国に波及することに警戒感を示し、「運動で反撃していくのは基本。仕切り直しが必要」と述べた。
(2022.06.22 民団新聞)