掲載日 : [2008-08-27] 照会数 : 6926
映像でよみがえる60年 ドキュメンタリー「韓国民団」
[ 映像の一シーン(ハメコミ写真はタイトル) ]
年代超え感動呼ぶ
過去の苦闘しのび涙も…業績再確認、誇り新たに
民団中央本部が制作した建国60周年記念DVD「ドキュメンタリー韓国民団」(上映時間60分、ダイジェスト版30分)が各地の光復節式典会場で公開され、静かな反響を呼び起こしている。実写フィルムをふんだんに織り込んだ映像の迫力はなによりも胸に迫るものがあると好評を博している。1世は創団以来の苦闘を思い起こして涙し、2世は知識としての民団の歴史が現実のものになったと語った。作品は映像の一部を手直ししたうえで今秋にも完成する。
ただの知識から具体的な事実に
山梨・朴喜雄さん(65)何回見ても、そのたびに目頭が熱くなる。私たちの少し上の先輩たちは、どんなに大変な思いをして私たち在日の生活基盤を改善してきたのか。私たちはもっと頑張らなければならないのだ。それを思うと安閑としていられない。
高知・蔡裕美さん(33)断片的だった知識や記憶が今回、映像を見ることで見事に一つにつながった。学徒義勇軍にしても、一身を犠牲にしてまで「なぜ」と思ってきたのが、ようやく疑問が解けた思いがした。民団発足当初の総連からの嫌がらせも知識としてではなく、具体的な事実として頭に入ってきた。指紋押捺も衝撃的だった。映像の持つ力はすごい。
東京・柳永美さん(42)韓国学校出身の私でさえ知らなかったことが多くてびっくりした。これまで民団というと、どこか偉ぶっているというイメージがあった。でも、それに恥じない、たくさんのことをしてきたのだということがよく分かった。
静岡・姜仁守さん(49)映像を見ていて、とにかく1世のパワーに圧倒された。大阪で私を育ててくれた両親の苦労をあらためて思い起こした。いまは昔と比べて日本社会も住みやすくなった。これも先代のおかげだと思う。いまの若い人にそんなパワーがあるだろうか。
東京・鄭幸廣さん(48)「民団はなにをやっているのか」と、聞かれることが多くなった。過去の苦闘の歴史を知らない人たちが増えている。理論武装のため各支部で勉強会を開くべきだ。そのための格好の材料となる。
大分・金文彦さん(42)1世は組織慣れしているので、見飽きたと思われるのを心配した。しかし、「次代に伝えていかなければならない確かな歴史がここにある」と言っていたのは予想外だった。じゃあ、今の若い人が民団はすばらしいというかとなると、そうはならない。私たち自身が勉強していかないと民団が残らない。広報は大事だと痛感した。
大阪・金秀さん(59)祖国とともに歩んできた民団60年のDVDを見て胸に響くものがあった。2世や3世がみても伝わるものがある。在日同胞の形成史、実写の記録なので、重みがあり、説得力がある。もっと敬老会や他の集まりの時にでも活用できたらいいと思う。
次世代のための民族教育に活用
大阪・崔慶子さん(61)映像の後半、1世のハルモニが無心に踊っている様子に目を奪われました。さんざん苦労してきたのに、それを忘れて、こんなに楽しそうな笑顔を見せられるなんてとてもすてきでした。若い世代の民族教育のためにこのDVDを活用していきたい。
三重・金時煥さん(64)なかなかよくできている。特に、解放を迎えてから民団と総連が誕生するまでの経緯が生々しく、胸に迫るものがあった。貴重な映像だ。民団の歴史を語るのに、口で説明するよりも映像を見せるほうが早い。一家に一つは備えておくべきだろう。
秋田・呉尚俊さん(65)映像を見て、あらためて民団が果たしてきた功績の数々を考えさせられた。北送反対事業は、その最たるものではないか。民団が反対したおかげで、北に行くのを思いとどまったという人も多いはず。私のアボジもあの生活苦の中では、北に渡ってもおかしくはなかった。そうしたら今の私はなかったと思い知らされた。
宮城・宋高士さん(65)当時の一世たちの生き様を映像と共にイメージできた。自分の幼少の頃の体験と重なり、感慨深かった。戦後の貴重な記録を見ることができ、また大きな励みになった。
鳥取・金鐘観さん(75)私も民団の母国訪問団事業が始まって間もないころ、高齢のお母さんを連れて総連には内緒で韓国の土を踏んだだけに、よくこれだけの古い記録が残っていたものだと感心した。たくさんの農民がバスに手を振って歓迎してくれたことを懐かしく思い出した。いい映像でした。
熊本・金達龍さん(85)解放の前の年に四国から熊本に来た。朝鮮人連盟の結成から民団の創団、総連との熾烈な闘いも見てきた。若いときは子どもをおぶってトラックの上に乗り、デモしたこともある。映画を見ながらこんなことがあったな、そうだ、あんなこともあったんだと、懐かしさで涙が出た。いま思えば先輩たちはよく頑張ったなと思う。
西東京・宋在植さん(76)映像で見ると、昔懐かしい人物がたくさん出てくる。さながら民団の同窓会のようだ。すでに3回見たけど、飽きがこない。民団、なかなかいいものを作ってくれたね。
岩手・韓桂子さん(53)釜石の炭坑で労働しながら私を育ててくれたアボジのことを思い出した。映像を見ながら胸の詰まるような思いだった。いまはアボジへの感謝の気持ちでいっぱいだ。
資料掘り起こし詳細な続編望む
大阪・呂克千さん(81)在日本朝鮮人連盟を結成してから解散に至った経緯、朝鮮人連盟が民戦に変わっていく当時の映像資料が少なかったことが残念。これからさらにこうしたところの映像資料も収集補足して、DVDに残しておいてもらいたい。
東京・黄昌吉さん(58)60年の歴史を30分に凝縮するのは無理がある。大きな流れしか分からない。それでも、知らない人には分かりやすいだろう。支部でも上映したいので貸してほしい。
大阪・崔炳潤さん(67)民団が在日の心のよりどころと思えるようになるビデオだ。若い人に見てもらえば、親たちの苦労も少しは知ってもらえるだろう。ただ、戦後63年の歩みを30分でまとめるのはどうかな。前編・中編・後編の3部作で制作してほしかった。続編を期待したい。
(2008.8.27 民団新聞)