掲載日 : [2008-09-17] 照会数 : 8870
<生活>同胞結ぶ愛のキューピット
[ 劉瑩姫さん ] [ 劉さんの直感で引き合わされ、2月に結婚した梅田尋道さんと郭東映さん ]
親身で相談
大阪コリアブライダルセンター
マネジャー劉瑩姫さんに聞く
大阪コリアブライダルセンターで2004年から、専従のブライダルマネジャーとして同胞会員同士の結婚サポート役を担っている劉瑩姫さん(56)。これまでブライダルパーティーや、見合いを通じて30組を成婚させ、離婚したカップルがいないのが自慢だ。労力を惜しまない活動で、会員や父母たちとの信頼の絆を太くしてきた。「若い方たちの聞き役に徹する」ことが第一という劉さんに聞いた。
個性・本音 大切に
4年余で30組ウェディング
大阪コリアブライダルセンターは、民団や婦人会などの組織が行ってきたブライダル事業を一本化するために2002年、民団大阪府本部内に開設された。
今年、ブライダルマネジャーとして5年目を迎えた劉さんがこの間、第一に心がけてきたのは会員たちの聞き役に徹するということだった。センターを立ち上げた当初、年4回開催されるブライダルパーティーの運営や、参加者を募るために奔走し、会員たちの悩みや思いを聞く機会が少なかったという反省があった。親身になって話を聞くことで、各自の結婚観や本音を知り、いろいろなことに気づかされていった。
まず自分の見つめ直し
「若い方たちと話をして気づいたことは、現実を直視しないで理想論を語る方が多いということです。自分が見えてくると相手に望む内容も変わり、自分のことが分かってくると自分に見合った相手を探すことができます。私が最初に手がけたのは『自分を見つめ直す』機会をつくることでした」
じっくり構えて話を聞く劉さんの姿勢に、会員たちは次第に心を開くようになった。話は当事者の会員たちだけではなく、親に対しても行う。
「ご両親の相手に望むハードルは高い傾向にあります。望みが高くなればなるほど、縁は遠ざかりますし、子どもたちの意見を遮断してしまうこともあります。子どもたちの見る目を養うためにも、ご両親には、黙って見ていてほしいと言っています」
そんな劉さんのもとには、その実績を信頼するあまりに、笑うに笑えない相談を持ちかける人もいる。「電話をかけてきて、資料の中から選んで下さい。劉さんが選んでくれたらそれでいいと。もちろん、そういう依頼は断っています」と苦笑いする。
これまでパーティーや、見合いを通じて30組のカップルが成婚した。だが、最初の1年間はカップルがまとまらず、試行錯誤の連続だったと話す。
現在では口こみで参加者は増加、1回のパーティー開催に50、60人が参加するほど。同時に収益も上がり、その一部は民団大阪府本部の財政に充てられている。
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民団本部 一丸で推進
「このカップル似合いそう」
ピタリ!!腕の見せ所
ブライダルパーティーは、趣向を凝らした企画内容で展開する。民団大阪府本部の金〓秀事務局長は「運営内容や企画は民団本部、婦人会、青年会、劉さんを交えて、活発な意見交換をする」と話すように、関係者たちが一丸となって、ブライダル事業に力を注いでいる様子が伝わってくる。
全国民団のお手本にも
大阪独自の取り組みを、参考にした民団本部もある。06年に開催された大阪コリアブライダルセンターのパーティーに、民団愛知ブライダルセンターの関係者らが視察に訪れた。視察を通して取り入れたシステムで、現在も行っているのがフリータイムで用いられるカップリングシートと呼ばれるものだ。話したい相手を指名すると5分間、会話をする権利を得られるというもの。
民団愛知ブライダルセンターの丁光栄事業部長は、「現代の感覚にあったブライダルパーティーの企画を考えようと思いました。関連のホームページや民間で行っているものも調べましたが、大阪のは一つひとつが勉強になりました」と当時を振り返る。
さらに丁事業部長は、より多くの会員たちと会話ができるようにと、大阪で行っていた男女各5人で構成される、「ファースト・インプレッション5対5」にヒントを得て、会話が苦手で、どうしても孤立しがちな参加者のために、時間を区切って全参加者と話す機会をつくる1対1制を導入し、好評を得ている。
会員たちは、性格も好みも考え方も千差万別だ。その中で、いかにお互いの期待にそう相手を探す手伝いをするかが、劉さんの腕の見せ所でもある。
今年2月に挙式した梅田尋道さん(38、大学の英語非常勤講師)、郭東映さん(36、ケーキ職人)夫妻は、劉さんの直感によって引き合わされたカップルだ。
東映さんはこれまで数回、パーティーには参加したものの、なかなか意中の人に出会えなかった。尋道さんは帰化していて、新規会員として登録したばかりだった。お互いに価値観のあう相手とめぐり会うことができずにいた。
東映さんのタイプを把握していた劉さんは、尋道さんとの見合いの場を設けた。「お見合いは2人とも初めてでしたが、合わせた瞬間、うまくいくと思いました。本当に息があっているという表情をしていました」
尋道さんは「私たちは見合いをして3カ月で結婚を決めました。民団のブライダルサービスを通じて結婚することができ、楽しく幸せに暮らしています。在日韓国人の妻と一緒になり、親戚付き合いもスムーズにいっていますし、妻とは気楽に何でも話ができます。民団のブライダルサービスを、結婚問題で悩んでいる同胞はもっと利用してほしい」と話す。
ほんの少し背中後押し
劉さんは「ご縁」を大事に考える人だ。例えばパーティー会場で、双方が気に入りながらも、面と向かって話せないことがある。劉さんはそんなとき、終了後に2人を呼んで思いを聞く。またパーティー当日、会話のチャンスがなくても気になる相手がいれば報告してほしいという。後日、見合いの場を設定することもあるからだ。
劉さんはわずかなチャンスを見逃さない。ほんの少し背中を後押しすることで、結婚に至ったカップルは多い。「だからアフターケアは大切なんです」
劉さんの元には幸せをつかんだ何組ものカップルから、感謝の気持ちを綴った手紙や、写真が送られてくる。特に「結婚式での幸せそうな2人を見ると、いい仕事をさせていただいていると思います」と感慨深い。
今後も良縁を求める同胞のために、頑張りたいと張り切る。
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この秋 出会いの場
大阪コリアブライダルセンター
〈秋季カップリングパーティー〉10月12日。受付11時半、開始12時/帝国ホテル大阪3階「白鷲の間」(大阪・北区)。参加費:1万円。(非会員1万3000円)。募集人員:先着順男女各40人。開催1週間前に締め切り。要申し込み。問い合わせは大阪コリアブライダルセンター(℡06・6371・1184)。
尼崎韓国商工会議所
〈ブライダルパーティー2008 in HYOGO〉11月2日。開始12時/ホテル「ホップイン」アミング(JR尼崎駅北側)。参加資格:在日の韓国、朝鮮籍および日本に帰化した方で、10月末日現在で満25〜42歳の独身者。募集人員:男女各40人。参加費:8000円。募集期間:10月15日まで(定員になり次第締め切り)。問い合わせは尼崎韓国商工会議所(℡06・6482・2491)。
広島韓国青年商工会
〈第12回カップリングパーティー〉11月8日。受付16時、開始16時半/ルイード・タバーン(広島市中区新天地6‐10
本州会館3階、℡082・249・1901)。会費:7000円(軽食ほか)。対象:男女とも40歳くらいまでの在日同胞(帰化同胞可、結婚歴問わず)。募集人員:40人(男女各20人)。申し込み締め切り:10月20日(定員になり次第締め切り)。申し込み方法:青商事務局まで電話、FAX、Eメール、ハガキのいずれかの方法で申し込み後、必要書類を送付。今年の特徴:気軽に参加でき、すぐに打ちとけられる雰囲気づくりのため、場所や内容も一新。問い合わせは広島韓国青年商工会(℡082・246・8570)。
民団福岡県本部
〈ブライダルパーティー〉11月9日。開始14時/IPホテル(福岡市内)。会費:男女ともに1万2000円(2次会のディナー食事代込み)。詳細、問い合わせは民団福岡県本部(℡092・431・7231)。
民団愛知ブライダルセンター
11月中旬開催予定。問い合わせは民団愛知ブライダルセンター(℡052・452・7002)。
(2008.9.17 民団新聞)