掲載日 : [2019-12-14] 照会数 : 7943
ネット上のヘイト泣き寝入りさせない…専門家がモデル案公表
[ モデル案を提案する「研究会」の宮下萌弁護士 ]
インターネット上のヘイトスピーチや、特定の個人を対象とした誹謗中傷などから被害者を法的にサポートするためのモデル法案が4日、国会内の院内セミナーで公表された。弁護士や研究者でつくる「ネットと人権法研究会」が提案したものだ。
法案の名称は「ネット上の人権侵害情報対策法」。名誉棄損とプライバシー侵害、ヘイトスピーチをネット上で流通させることを「違法」とし、禁止としたのが大きなポイント。
なにが人権侵害情報にあたるのか。具体的な判断は内閣府に置かれた独立した専門の第三者機関「インターネット人権侵害情報委員会」が判断し、プロバイダは第三者機関の判断を尊重しなければならないという制度設計をしている。委員会による削除要請は申立てから1週間以内、プロバイダによる送信防止は要請から48時間以内とした。
現状はインターネット上の人権侵害があっても、プロバイダが任意に当該情報の削除、および発信者情報を開示してくれることはほとんどない。仮処分の申し立てをするには弁護士に依頼するなどして、膨大な金銭的及び時間的コストがかかる。経済的に余裕がなければ泣き寝入りせざるを得ない。
院内セミナーに出席した有田芳生参議院議員(立憲民主党)は「来年のオリンピックまでにつくる」と法案づくりに意欲を示した。また、新たに「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」の会長に就任した白眞勲さん(立憲民主党参議院議員)は「誰でも被害者にも加害者にもなりうる。突貫工事でやっていかなければ」と述べた。
(2019.12.13 民団新聞)