掲載日 : [2023-06-21] 照会数 : 994
関東大震災から100年 流言飛語の責任問う
社会民主党の党首、福島みずほ参議院議員が15日、参議院法務委員会で「関東大震災における虐殺について」質問。保存されている公文書や公的記録からして日本政府の責任は免れないと指摘し、あらためて調査と謝罪を求めた。これは5月の参議院内閣委員会で日本政府の責任をただした杉尾秀哉参議院議員(立憲民主党)に続いて2人目。1923年の帝国議会での質問からは実に100年ぶりとなる。
福島みずほ議員 「調査と謝罪を」
日本政府は関東大震災の翌年、1924年5月27日に中国人虐殺にあたって当時の政府が20万円の賠償金を支払うと閣議決定した。当時の中国政府が謀殺の賠償として請求していたもの。内乱又は暴動による不法行為として日本の国家責任は免れないという外務省第3課の資料も公文書館に残されているという。
福島議員の質問に政府側参考人も事実を裏付ける「電報」が外務省外交史料館に保管されていることを公式に認めた。しかし、日本政府からの支払いはなかった。2014年には遺族から謝罪や賠償などを求める要望書が提出されたが「調査した限りでは、事実関係を把握することができる記録が見あたらない」としてはねつけた。
福島議員は次に朝鮮人虐殺について言及。当時の内務省警保局が戒厳令下、千葉県船橋市の無線電信所から「朝鮮人による放火、投弾に警戒すべし」という趣旨の誤った情報を全国に流したことを挙げ、「流言飛語による民衆煽動の責任は国家に責任がある」と指摘した。この電信文は公文書館に保管されているという。
政府参考人は「調査した限り、警察庁に事実関係を確認することができる記録が見当たらない」と、ここでも不都合な真実から目を背けた。ちなみに100年前の帝国議会では少なくとも電信文の存在そのものを否定していない。「調査します」とだけ答えていた。
福島議員は「日本政府がヘイトクライムそのものをつくりだしたのではないか。震災などがもう1回あったらどうするのか」と齋藤健法相の見解をただした。
齋藤法相は「100年前の出来事からわれわれが教訓として学んでいかなくちゃならないということはたくさんあるんだろうなと、一般論として思っている」と述べるにとどまった。福島議員は「100年たったけれど、このことは今も解決していない。政治の責任として解決すべきだ」として質問を終えた。
(2023.6.21民団新聞)