掲載日 : [2017-10-25] 照会数 : 14031
青年会、学生会、留学生会、中国朝鮮族一堂に…在日の歴史学び一体感
[ 在日の歴史学び一体感 ]
在日同胞社会の青年層は3、4世だけでなく、新規定住者とその子どもや留学生など、多様化が進んでいるが、互いに理解を深める場として「在日青年の集い〜つなげようネットワーク」が14日、東京・品川のTKPカンファレンスセンターで開催された。駐日韓国大使館が主催、民団中央本部が主管した。
20〜40代80人集う
駐日韓国大使館主催
青年会、学生会、留学生会の会員をはじめ中国朝鮮族など、20代から40代までの在日同胞約80人が参加し、共に在日同胞の歴史を学び、同じ民族として意識を共有した。
主催者を代表してあいさつをした李讚範総領事は「韓日両国が手を取り、新たな友好関係を築けば国際社会の発展に大きく寄与するだろう」としながら、「その両国の懸け橋的役割を担うべき皆さんの団結が必要不可欠だ」と呼びかけた。
青年会中央本部の朴裕植会長は「それぞれが異なるバックグラウンドを持つ中で、互いの違いを受け入れてつながりを保つためにも、在日同胞の歴史をしっかり知る必要がある」と述べた。
まず、民団中央本部の呉公太団長が講演。在日2世としての視点で、自身の生い立ちや体験談を交えながら、韓日の歴史と同胞とのつながりなどを振り返った。
とくに在日同胞の祖国への貢献について強調。65年韓日国交正常化の際、日本が有償無償合わせて5億㌦を供与したが、日本政府はそれを補完するようにパチンコ店を中心に在日からいきなり多額の納税を義務づけた経緯を引き出し、「当時、在日同胞が納税した額は5億㌦を軽くこえていたのでは」と説明した。
また、駐日韓国公館の寄贈、高度経済成長を成し遂げた「漢江の奇跡」の象徴でもある、九老や亀尾の工業団地建設、88年ソウル五輪での募金、97年金融危機での外貨預金など、在日同胞が物心両面で本国に惜しみない貢献をしてきたことを説明した。
続いて東京学芸大学の李修京教授が講演。
李教授は来日以来続けてきた自らの研究を通して在日を取りまく環境の変化について論じた。貧困と差別の中で力強く生きてきた1世たちを紹介しながら、若者に対し、「アイデンティティーの確立に必要な自らのルーツと向き合いながら、地域住民としての自覚も持ち、国際社会に目を向けられる人になってほしい」と話した。
最後に平昌冬季五輪・パラリンピックの成功を願い、参加者全員で「ファイティング」と気勢をあげた。
参加者に希望と勇気
同胞が集まる行事に初めて参加したという3世の金奈美さん(33)は「これまで在日の歴史を知る機会がなかった。自分のルーツにまつわる話が聞けたことで、大きな希望と勇気が沸いた。これからもこういった行事には積極的に参加したい」と語った。
中国朝鮮族出身の新定住者で構成する「在日朝鮮族女性会」の会長を務める黄齢慧さん(38)は「同じルーツを持つ在日として、このつながりは切っても切れないと痛感した。在日の文化や歴史を子孫に引き継いでいきたい」と語った。
在日韓国人留学生会の李碩敏会長(20)は「今日出会ったつながりを広げていくためにも、今度は僕らが主体となってイベントを開きたい」と意気込みを見せていた。
(2017.10.25 民団新聞)