掲載日 : [2004-10-20] 照会数 : 4822
<日弁連>人権基本法を提唱 差別禁止法求める(04.10.20)
[ 人権基本法の制定に向けた課題を話しあうパネリスト ]
外国人と民族的少数者対象
【宮崎】日本弁護士連合会は宮崎市で第47回人権大会を開き、国際的な人権基準に合致する「外国人・民族的少数者の人権基本法」の制定を求める宣言を採択した。日弁連が外国人の人権の保障に焦点をあてた立法の整備を呼びかけたのはこれが初めて。
日本は95年12月に人種差別撤廃条約に加入しているが、外国人や民族的少数者の人権が侵害される状況が続いている。本来は差別撤廃に取り組むべき自治体の首長が、一定の民族や国籍を名指しで犯罪者の集団であるかのような印象を与える発言をしているのはその端的な例だ。就職差別、入居差別、入店差別もあとを絶たない。
これは人種差別を禁止する法律や条令が制定されていないため。8日の人権擁護大会で採択された日弁連の「宣言」は、人種差別を禁止する法律や条令の制定を求めるとともに、日本政府から独立した人権機関の設置と人権・多文化理解教育の徹底を求めているのが特徴。併せて戦後補償の解決も避けて通れない課題だとしている。
日弁連が人権擁護大会に先だって7日に開いた人権擁護大会第1分科会「外国人の人権基本法を制定しよう」には全国から同胞ら820人が参加した。
冒頭、アピールに立った民団宮崎県本部の李鍾常任顧問は、人権基本法に反映すべき課題として①地方参政権の付与②地方公務員への就任権③外国人登録証の常時携帯義務制度の撤廃④高齢者と障害者への福祉手当の支給‐を挙げた。
引き続いて第1部パネルディスカッションで外国人と民族的少数者をめぐる現状と課題を話し合った。
席上、パネリストの一人、渡辺英俊さん(移住労働者と連帯する全国ネット共同代表)は「旧植民地出身者に対する処遇がなっていない。そのねじれの上にニューカマーやオーバーステイの人権問題がある」と指摘した。在日三世の辛淑玉さんも「在日が頑張らないと新しい人たちにとって結果的に加害者の立場となる」と同調した。
続いての第2部では、人権基本法制定に向けての課題と展望について話し合った。
民主党参院議員の千葉景子さんは、立法化の意義を認めたうえで「市民運動の高まりが欠かせない」と述べた。一方、公明党参院議員の遠山清彦さんは「外国人の人権保障について基本的な概念を定めた法律は早晩必要になる」としながらも、「問題解決のためには社会構成員の意識改革が必要」と、教育重視の考えを明らかにした。
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法制化実現へNGOが結束
宮崎で意見交換会
日弁連シンポの議論を踏まえ、「人権基本法」の成立をめざす研究者やNGO団体のメンバー40余人が8日、宮崎県弁護士会館で意見交換会を開いた。国会対策の具体化や「人権基本法」の成立と合わせて、民族差別禁止条例や多文化共生条例を各地につくる必要性について述べられた。
会合を呼びかけた外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会(外キ協)の佐藤信行さんらは、「来年の通常国会会期にNGOの全国ネット結成を。市民公聴会の開催を」とまとめた。
(2004.10.20 民団新聞)