掲載日 : [2004-10-20] 照会数 : 2072
法と生活〈14〉 在外同胞向け最新法・制度(04.10.20)
(文責・民団中央民生局)
投資と金融取引㊤
外国人投資に対し租税減免など特典
1 事業投資
イ概要
▼外国人投資の意味
外国人が国内企業と持続的な経済関係を樹立する目的で、その企業の株式または持分を所有することをめざし、経営に直接参加する投資を意味するので単純なポートフォリオ投資とは区分される。
▼外国投資家の範囲
外国投資家は、外国の国籍を保有する個人と法人および国際金融公社(IFC)等のような経済協力機構を意味するが、大韓民国の国籍を保有する個人で外国に永住する者に対しても外国人投資に対する規定が適用される。
ロ 投資可能業種および投資比率
▼投資可能業種
外国人投資対象業種1058業種中、テレビ放送業、ラジオ放送業の2業種を除いた1056の業種に対して外国人投資が開放されており(99・8%)、そのうち通信、電力等の27業種に対して投資比率の制限など一部制限がある。
▼投資比率
原則的に外国人の投資比率は10%以上でなければならないが、外国人が外国人投資企業の経営に参与するなど、当該企業の経営に実質的な影響力を行使する場合には10%未満でも可能である。
業種によっては投資比率の上限が定められている場合もある。(例=肉牛飼育業50%未満、定期航空運送業50%未満等) ハ 投資方法
現金または資本財(現物)で投資することができ、1人当り5000万w●以上ならば申告が受理される。増額投資または配当金による投資の場合には金額制限がない。
ニ 投資手続き
▼新株等の取得による外国人投資
原則的に申告制であり、外国人投資制限業種を除外したすべての業種が対象になる。
申告機関は、国内銀行本・支店、外国銀行の国内支店および大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の本・支店と海外事務所であり、単純申告制で即時処理される。
この場合、提出書類は外国人投資申告書2部だけを提出すればよい。
▼既存株式等の取得による外国人投資
原則的に申告制であるが、防衛産業に関する特別措置法の規定による防衛産業体を営む企業の既存株式等を取得する場合には許可制であり、その対象は外国人投資制限業種を除外したすべての業種である。申告機関は「新株等の取得による外国人投資」の場合と同様であり、許可機関は産業資源部で、処理期間は申告の場合は即時に、許可の場合は15日間である。この場合にも提出書類は外国人投資申告書2部だけを提出すればよい。
ホ 租税減免の特典
外国人投資事業が高度技術および産業支援サービス業を伴う場合と外国人投資地域内の入居事業である場合、租税減免の特典が与えられる。租税減免内容は、法人税が最初の所得発生年度から7年間100%、その後3年間は50%減免される。取得税・財産税・総合土地税の場合は、事業開始日から5年間100%、その後3年間は50%減免され(地方自治体の条例は15年まで減免期限を延長し、減免比率を拡大した場合はその規定による)、減免事業に要する資本財を当該外国人投資資金で導入する場合、それに対する関税・特別消費税・付加価値税は全額免除される。
ヘ 事後管理
株式または持分の譲渡等をする場合には、外国人投資申告(許可)をした機関に申請するか、許可を受けなければならない。
ト 投資元金および配当金の送金保障
外国人投資家の所有株式や持分から生じる利益の配当金や株式または持分の売却代金は、投資当時の申告または許可内容によって対外送金が保障される。
チ 外国人投資促進法施行(1998年11月17日)以後に導入された制度
▼外国人投資手続きの簡素化
申告受理制(処理期間=即時または7日)で運用していた以前の制度から単純申告制(即時処理)に転換し、申告時に提出した各種添付書類を大幅に簡素化して外国人投資申告書だけを提出するようにした。
▼租税減免制度の拡充 租税減免対象高度技術の対象範囲を大幅に拡大し(2003年11月現在、485個)、付加価値が高く製造業支援など、他の産業の発展を支援する効果が大きい事業支援サービス業(2003年11月現在、149個)を租税減免対象事業に含めた。製造業等を営むために新たに工場施設(事業場)を設置する場合で一定規模以上の外国人投資に対しては、当該外国投資家が希望する地域を外国人投資地域に指定し、租税減免および賃貸料の減免等の減免比率を拡大した。法人税等の場合、以前の8年(5年間100%、3年間50%)から、10年(7年間100%、3年間50%)間、減免するようにし、取得税など地方税の場合は地方自治体の条例により15年の範囲内で減免期間延長および減免比率を拡大できるようにした。
▼国・公有財産の賃貸および貸賃料減免制度
賃貸期間を現行の20年から50年の範囲内に拡大し、50年の範囲内で賃貸期間を更新できるようにした。
▼外国人投資地域制度の導入
工場施設などを新たに設置する場合で製造業の営業投資金額が5000万㌦(高度技術隋伴事業および産業支援サービス業は3000万㌦)以上、観光ホテル業および水上観光ホテルの営業投資金額が2000万㌦以上、総合休養業および総合遊園施設業の営業投資金額が3000万㌦以上、複合貨物ターミナル業・共同集配送団地事業・港湾施設運営業・港湾背後団地事業など物流業の営為は3000万㌦以上、研究開発業で修士以上の研究人力が20人以上、投資金額500万㌦以上の場合には、当該外国投資家が投資を希望する地域を外国人投資地域に指定して租税減免および外国人投資地域開発資金支援、賃貸料減免等を支援する。
2 証券投資
イ 基本原則
1980年代初めから証券市場国際化長期計画に基づき市場開放を漸進的に推進してきたが、金融・外貨危機の発生以後、公共的法人を除き限度規制を完全に撤廃した。
しかし、金融監督委員会は公益または証券市場の安定と産業政策上必要と認める場合には業種別または種目別取得限度を別に定めることができる。
ロ 株式市場開放の主な内容
1998年5月、外国人に対する株式投資限度が完全に撤廃されたが、公共的法人である韓電・浦項製鉄の種目別1人当たり投資限度は3%以内で定款が定める比率による。また、種目別の外国人全体の投資限度は発行株式総数の30%に制限される。その他、銀行法など個別法令で株式取得を別に制限している場合には、その法令の定めによる。
投資基金の流出入には制限がなく、投資者は銀行に本人名義の証券投資専用の対外勘定と証券投資専用の非居住者ウォン為替勘定を開設して投資することができる。
(2004.10.20 民団新聞)