掲載日 : [2004-10-27] 照会数 : 6255
濁流、民団支部ひとのみ 台風23号被害「予想以上」
[ 泥まみれになったスチールデスクの中を点検する金東天支団長 ]
兵庫県西脇市…機器・調度跡形なく
役員語る
【兵庫】西日本一帯を襲った超大型台風23号は兵庫県、京都府内在住の同胞にも大きな犠牲を強いた。川水のひいた23日、民団兵庫県本部から河政淳防災委員長をはじめとする役員4人が見舞金とミネラルウォーター、タオル、防水シートなどを持参して特に被害のひどかった西脇市に位置する民団播丹支部(金東天支団長)を見舞い、近隣の実情を調査した。
民団播丹支部の事務所内部は机ひとつと数個の椅子があるだけでガランとしていた。備品はほとんどなく、黒板の上に太極旗がぽつんと残っているだけ。浸水した水の高さを表す線が事務所の四方をくっきり取り巻いていた。水位は約170㌢あった。
同支部の事務員、屋代靖子さんによると、台風一過の21日、支部事務所(1階建、約100平方㍍)に出てみると、冷蔵庫、電話、FAXなどの電気機器は水浸しで使い物にならない状態。濁流が事務所を襲い、机一つを除きすべての備品をドアごと一気に押し流してしまったらしい。団員の国民登録台帳だけは、水浸しながら、机の上にかろうじて残されていた。
支部会館にほど近い李甲出さん(県本部婦人会会長)の自宅と会社も床上浸水の被害にあっていた。李会長の話によると、「あっという間に脇の下まで水が押し寄せ、危ないところだった。幸い息子が助けに来てくれて助かったが、ほんとうに死ぬかと思った」と恐怖のひとときを語った。自宅の日本間の畳はもちろん、すべての土壁がはがれ落ちていた。
また、自動車や業務用のトラックなども水浸しで、使用不可能の状態だった。これは、近くの卞俊植さん(民団県本部顧問)宅も同様だった。一人住まいの松田ハルモニ(84歳)によれば、テレビで台風ニュースを見ていたら急に水が上がり、畳が浮いて危険な状態だったという。幸い息子が駆けつけて難を逃がれた。市は全戸に避難所への案内や食料品の手配をしたとしているが、23日現在、案内は届いていない。このほか数軒の同胞宅も同じような状況だった。
県本部の尹達世事務局長は「目のあたりにすると予想以上の被害だ。支部はもちろん、同胞一人ひとりに対する援助活動が必要と思う」と語った。
また、河政淳防災委員長は、「防災対策委員会はまだ構成されたばかりで、充分なことができていないが、大災害の救済は行政だけではできないことがよく分かった。早く委員会で論議して全国に自力で減災の方法、また民団が団員を守る方途を作れるよう努力しなければ」と語った。
一方、県北部の豊岡市でも円山川の堤防が決壊し、川沿いの市街地が広い範囲で水没した。同地の但馬支部は兵庫県ではもっとも同胞数の少ない支部だが、その中心である豊岡市には119人が居住している。
同市でも地区によって床上、床下浸水の被害を受けた。幸いに堤防が切れた地区は同胞が少なく、ほとんどが床下浸水の程度ですんだとの連絡が入った。
(2004.10.27 民団新聞)