掲載日 : [2019-04-24] 照会数 : 7988
絵葉書に見る近代朝鮮
[ 家族や冠婚葬祭の写真を集めたページ ] [ 李王世子殿下ご一家。妃殿下は梨本宮方子さん ] [ 表紙の写真は京城市遠景 ]
収集家の高成一さん 冊子を刊行
日帝時代の絵葉書を収集してきた在日1世の高成一さん(71、大阪・西成区)が絵葉書186枚を収録した冊子『絵葉書に見る近代朝鮮』(全32頁)を1日、日本絵葉書会・関西支部から発行した。高さんの絵はがきは本紙でも昨年紹介した。本書は、2016年12月に同支部から刊行した『日本統治下の絵葉書でたどる済州島』に続く第2弾になる。
掲載された絵葉書の大部分は、日本本土の絵葉書業者や韓国に進出した日本の業者により、韓国を訪れた旅行者への土産物として発行したものか、あるいは朝鮮総督府関連機関や日本本土の行政機関が記念絵葉書として発行したものになる。
朝鮮総督府発行のものは施政のPRであり、成果を誇示するために絵葉書が使われたといえる。朝鮮王朝を列強の侵略から保護するという名目で、植民地化していった過程が見て取れる。
前半は、韓国併合に至る経緯について説明している。統監府の庁舎は、1895年に南山裾野の倭城台(現ソウルアニメーションセンター)に建てられた洋式の公使館が改装の上転用された。
上田商会発行の絵葉書には「統監府(朝鮮)は南山の山腹倭城台に在り規模広大結構壮麗を極め加ふるに其の地高きに倚るを以て全市街を俯瞰し総督府として最良の位置を得たり」と説明が記されている。植民地化へ向けての勢いを感じる。
1906年3月28日には統監府で開かれた懇親会に出席者の姿を写した「統監府開庁式懇親会」(ロシア製葉書)が発行された。1907年10月10日から、親善のために当時日本の皇太子・嘉仁(大正天皇)が韓国を訪問した際、漢城で純宗皇帝と会見した2人の姿を載せた「東宮殿下渡韓記念」(児童新聞社発行)などの貴重な絵葉書が掲載されている。
統監府と総督府は、「農業・漁業・林業」「学校教育」「道路・橋・航路・漁港整備」「鉱山・工業」など、主要な出来事の折りに記念絵葉書を発行している。記念絵葉書は、島田建造著『日本記念絵葉書総図鑑』によると、40種発行されている。
「当時の風俗」では、絵葉書に写る韓国人は民族衣装を着用しており、洋装は極めて珍しい。韓国風物詩としては、川辺での洗濯や水くみ、漬物を漬ける風景、水運びなどがある。民族的な芝居や踊りも盛んだった。仮面を被った芝居風景では、虎の仮面を被った人がチャンゴを持ち、獅子の面を被った人は扇子で顔を覆っている。民俗学的にも貴重なものだが、日本人がとらえた韓国風俗であり、画像のキャプションに当時の日本人の目線が感じられる。
高さんは「私たち韓国人が失った歴史を後世に伝えるため、一生を賭けて集めてきた」と絵葉書への思いを語る。
『絵葉書に見る近代朝鮮』をご希望の方は、高さん(090・1247・5350)、Eメール(cho‐senehagaki@ezweb.ne.jp)。定価1000円+送料。団体は送料無料。
(2019.04.24 民団新聞)