「こんな時だからこそ」政府レベルで韓日間のぎくしゃくした関係が続いていても、民間交流は底堅く、健在だ。民団は「10月のマダン」シーズンに合わせ、各地でこれまで以上の規模で韓日友好イベントを実施して「共に未来へ」をアピールした。一部にはこうした状況で開催するのはどうかという意見もあったが、「こんな時だからこそ」と押し切った。 |
韓国文化身近に「朝鮮通信使」も…京都コリアフェスタ |
対馬市朝鮮通信使行列振興会の3団体も「朝鮮通信使行列」を再現 |
【京都】民団京都本部(金政弘団長)は6日、京都市国際交流会館で「京都コリアフェスティバル」(実行委員長・孔信根副団長)を開催。会場は同胞と市民約4000人でにぎわった。この日、京都日韓親善協会、公益財団法人京都市国際交流協会、対馬市朝鮮通信使行列振興会の3団体も「朝鮮通信使行列」を再現して会場を沸かせた。 行列は白頭学院建国伝統芸術部学生のプンムル隊を先頭に会館正面から近くの平安神宮までの往復約2㌔を練り歩いた。今年は子ども朝鮮通信使もはじめて構成。婦人会京都本部と京都平安女学院の学生と一緒に鮮やかなチマ・チョゴリで行列を華やかに演出した。「国書」交換の儀式では金政弘団長があいさつした後、正使役の呉泰奎駐大阪大韓民国総領事館総領事と京都所司代役に扮した二之湯智京都日韓親善協会理事長が韓国と日本の平和・友好・親善を誓い合った。 午後からは建国伝統芸術部学生の韓国伝統舞踊、花音コーラス、K‐POPカバーダンスの公演で盛り上がった。 一般社団法人「日韓伝統文化絆の会」(尹道心代表理事)による茶道体験コーナーでは参加者が朝鮮王朝時代の茶の世界を堪能した。京都韓国教育院は韓国伝統遊びコーナを設けた。 広場では焼肉ハンバーガー、キムパ、チヂミ、ホットック、豚足、ビビンパをはじめとする韓国屋台の前に長蛇の列ができた。参加者は「多くの日本人がこういう場を通じて韓国文化を感じてくれたと思う」「朝鮮通信使行列は感動的でした」と語った。 |
◆イベント広場で規模拡大し開催…山梨コリア祭 |
地元の太鼓保存会による迫力ある演奏 |
【山梨】民団山梨本部(李正炯団長)は6日、JR甲府駅北口の「よっちゃばれ(甲州弁=寄っておいで)広場」で韓日文化交流イベント「山梨コリア祭ー共に未来へ」(鄭郁実行委員長)を開催した。 今年で4回目。これまでの韓国会館と隣接する駐車場という限られたスペースと違って市民約1000人を集め、「こうふ開府500年」を記念しての企画にふさわしい盛り上がりを見せた。K‐POPグループの「H5」の出演を楽しみにしていたファンは前夜から会場に押しかけた。 李団長は「政治問題で私たちのめざす韓日の民間交流活動に支障をきたすことがあってはならない」と強い意欲を示し、駐横浜総領事館の許相珍領事と「浅川伯教・巧兄弟を偲ぶ会」の千野恒朗会長がそれぞれ祝辞を述べた。 ステージで民団東京・太田支部のチャンゴチームがサムルノリを演奏、高根ふるさと太鼓保存会は太鼓の妙技を披露した。2つのテコンド道場に通う練習生たちは演武で会場を沸かせた。 市内の韓国料理店が出店した模擬店は午後2時前に次々と完売。「韓の食卓」のキムパはお昼までに200食、婦人会山梨本部はチヂミ150枚を売り切ったところで材料が底をついたという。生ビールを売った青年会山梨本部は次々と押し寄せる客の応対に追われていた。 「よっちゃばれ広場」での開催準備は去年から。今年に入って思いがけず韓日両国間にひび割れが広がったが、鄭実行委員長が中心となって「こういう時代だからやったほうがいいだろう」と進めてきた。 |
両国の奏者が伝統楽器共演…茨城日韓交流祭り |
「日韓交流おまつり」のフィナーレを惜しむ参加者たち |
【茨城】「韓日祝祭ハンマダン」を模した「日韓交流おまつり」が5日、水戸市内のホテルであった。民団茨城本部(金佳一団長)が昨年の「韓日パートナーシップ宣言」20周年とLCCイースター航空の茨城‐韓国(ソウル)の定期便就航を祝って開催したのが始まり。今年で2回目。民団関係者と韓国に関心を寄せる日本人の友人ら200人が参加した。 茨城からの韓国便は日本人旅行客の激減のため9月に「運休」となったばかり。こうした状況でも開催するのかどうか。民団は役員会で協議し、「こんな時だからこそ心の通った人と人との交流を大事にしていきたい」と継続を決めた。 額賀福四郎日韓議員連盟会長は「(日韓は)政治の分野では厳しい環境にあるが、議員連盟は困難な時こそ未来へ向かってやっていこうと確認している」と述べた。このほかの国会議員・県議といった来賓からも「韓国との民間交流を途絶えさせてはならない」との声が上がった。 舞台では韓日の交流がますます盛んになることを祈念して伝統楽器による共演「情熱大陸」が繰り広げられた。在日同胞2世の金愛玉さん(74、東茨城郡)は韓日奏者の演奏を見て「涙が止まらない」と感極まった表情でつぶやいた。 このほか、日本の筝と三味線による「津軽じょんがら節」、韓国舞踊と民謡メドレーなどが舞台を彩った。フィナーレでは観客が舞台に上がり「釜山港へ帰れ」の歌声に合わせて踊りだした。 |
多文化共生交流事業の総仕あげ…民団島根10月マダン |
800人を超える市民が楽しんだK‐POP公演(民団島根) |
【島根】民団島根本部(金吾男団長)は民団創団70周年を記念して例年以上に内容を充実させての開催。5日、松江市のくにびきメッセホール多目的ホールに800人を超える市民が訪れた。 「10月のマダン」は同本部が取り組んできた一連の多文化共生交流事業を締めくくるものとして位置づけている。会場には「ポジャギ講座」を受講した生徒の作品を一堂に展示。「習ってみよう、韓国の伝統舞踊講座」の受講生は舞台で「華冠舞」と「民謡の舞」を披露した。韓国語スピーチコンテスト第12回浜田大会の受賞者の発表もあった。 オープニングで創団70年の歩みを映像で紹介した。2部では日本で活躍しているK‐POPアイドルグループ「ZEUS」がステージに立ち会場を沸かせた。県日韓協連合会の細田重雄会長(自民党県議)は「現職の政治家として今の日韓関係を憂慮している」と述べた。 金団長は「韓日関係が最悪といわれるが、実際の生活の現場ではとても仲良くしている」と交流の大切さを訴えた。県と松江市の関係者からはそれぞれ「民団が柱となって民間交流を支えていることに感謝している」との言葉があった。駐広島総領事館の金宣杓総領事が激励に駆け付けた。 |
仙台駅前商店街にコリアブース…宮城県日韓協フェスタ |
韓服を試着して記念撮影に臨む地元の高校生たち |
【宮城】韓国と日本の食と文化を紹介する「日韓親善フェステイバル」(宮城県日韓親善協会主催)が9月28、29の両日、仙台駅前の「サンモール一番町商店街」で開催された。昨年に続き2回目。 今回は同商店街で地元仙台や東北の名産、特産品を扱う「伊達美味(うま)マーケット」の「特別版」と銘打って出店。駐仙台韓国総領事館、民団宮城、婦人会宮城など11の関連機関・団体が「韓国料理教室」、「試食コーナー」、「韓服記念撮影」などのブースを設けた。 当初、政治的な関係悪化の影響を受けてフェステイバルの開催そのものが危ぶまれたが、民団宮城本部(金政郁団長)が「このような時期だからこそ」と決議し、県日韓協と協議を重ねて開催にこぎつけた。開会式で金団長は「このフェステイバルが韓日の友好促進につながることを願っている」とあいさつした。県日韓協からは菊地ひろし副会長、鈴木繁雄副会長がお祝いに駆け付けた。 通りがかりの市民からは「まるで韓国に行ったみたい」「国家間の関係に負けないで頑張って」などといった温かい激励の声がかかった。 |
住民と焼肉交流で民団の存在広報…東京・豊島支部 |
バーベキューを担当した民団と島支部のスタッフ |
民団東京・豊島支部(金誠一郎団長)は5日、「焼肉バーベキュー交流会」を開催した。天候にも恵まれ、団員と地域住民ら40人余りが参加。焼肉とナムル、キムチなどの食事を楽しんだ。 6年目を迎える今年の交流会の舞台は同支部会館屋上。肉のほかアワビやホタテなどの魚介類も人気を集めた。「交流会」を通じて民団をもっと知ってもらいたいとの趣旨で団員らが集まってスタートさせた交流会は今ではすっかり恒例イベントとして定着した。婦人会東京本部からは李正子会長が宴席に加わった。 (2019.10.16 民団新聞) |