掲載日 : [2005-04-06] 照会数 : 7572
<本国投資協30周年>郭会長あいさつ(05.4.6)
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在日の心意気示す…今後も時代変化に即応
◆最盛期は200社
在日韓国人本国投資協会は、最盛期には200を超える会員社があり、当協会に所属していない事業所もそれに近い数があったと伝えられていますから、当時の在日同胞の投資の規模がうかがえます。その中には成功した企業も失敗した企業もありますが、たとえ失敗したとしても在日1世の心の中には、何かを成し遂げた後に残る充実感があったのではないかと想像されます。強制連行によるにせよ、青雲の志を抱いての渡日にせよ、1世の夢は故郷に錦を飾ることだったはずだからです。
当協会がこれまで30年間活動を続けてこられたことは、在日韓国人の代表機関である民団などの関連団体と在日経済人の心意気に賛同した朴正煕大統領をはじめとする国内関係者の支援の賜物です。そして、その活動は期待に反するものではなかったと自負しております。すなわち「漢江の奇跡」と呼ばれた祖国の目覚しい経済発展の一助になったと確信するものであります。
「30年もたてば山河も変わる」という言葉が韓国にありますが、それほど長い年月だということでしょう。当協会の30年も祖国の経済同様ダイナミックな流れのただ中にありました。韓国初の民間資本による銀行の誕生、財閥グループを結成した会員社、中堅製造業で業界1位を誇る会員社、そして1997年の通貨危機で撤収した会員社もあります。
◆2世以降へ橋渡し
また、30年という歳月は世代交代をもたらし、経営を2世に任せたり、後継者を育成したり、経営権を譲渡した会員社もあります。
最近の韓半島を取り巻く情勢の変化はめまぐるしいものがあります。休戦ラインに近い北の開城市では南北が共同で開城工業団地を建設しており、ロシアのウラジオストック近くでは南北とロシアが共同で農業・軽工業団地を開発する計画が持ち上がっています。
現政府の基本政策を検討する委員会の一つに「東北亜中心委員会」があります。冷戦後の世界政治の変化で世界経済の中心がアジア、特に中国、日本、韓国、それに遠くない将来台頭するであろうロシアの東北部を含めた東アジアに移ることを念頭に、その対応策を検討するものです。2000年の統計によれば、中国、日本、韓国のGDPを合わせると世界のGDPの20%に当たり、EUのそれと同じです。
現在の韓国では、昔のように在日の個人が大型投資をするのは難しい状況になりました。特に韓国語を駆使できない2世以降の世代には、雲をつかむような実感できないものになろうとしています。
◆「東アジア」を展望
しかし、経営や運営のソフトに関しては、日本のものが通用する部分も多く、また、ITの分野のように日本と相互補完的な関係にある分野もあります。そして、世界経済の中心が東アジアに移った時、地理的な条件から韓国がその中心になることは十分考えられます。つまり、30年前とは違った姿の本国投資の機会がこれからもありえることを、これらは物語っているのです。
本国への投資を望む在日同胞がいる限り、当協会はこれからも時代の変化が要求する本国投資のあり方を研究し、それに対応したサポート体制を築いていかねばならないと考えております。
(2005.04.06 民団新聞)