掲載日 : [2005-04-06] 照会数 : 12255
韓国童謡が小学校の授業に(05.4.6)
[ 韓国で販売されている初等教科書音楽CD ] [ 「青い心白い心」の楽譜と歌詞
]
◆東京書籍刊・音楽教科書
全国1200校の6年生用に
日本最大手の教科書出版会社・東京書籍(河内義勝社長)は、昨年2月に検定にパスした日本の小学校6年生の音楽教科書「新しい音楽6」にはじめて、韓国の童謡「青い心白い心」(魚孝善作詞/韓龍煕作曲)を収録した。今月、新学期を迎える全国約1200校の小学校で使用される。
「青い心白い心」は韓国の代表的な童謡で、いまでも子どもから大人までが口ずさむほど、韓国人に親しまれている。昨年の民団オリニ・ソウルジャンボリーでもテーマソングになった。教科書では「みんなで歌って音楽なかま」のコーナーの6ページに掲載され、日本語の歌詞とともに、ハングル歌詞がカタカナで併記されている。
◆相互理解深めたい…
歌詞にハングル読みも併記
このコーナーでは、歌や音楽を通したコミュニケーションを大きなテーマにしていると話すのは、東京書籍編集局総合科編集部の菅原敏彦部長だ。菅原部長は、音楽にはいろいろな壁や障害を乗り越えて、お互いに仲良くコミュニケーションを図る役割を持っていると、繰り返し強調する。
「単に授業とか学校の教室で歌うというのではなく、多様な場面で活用できるとか、さまざまな国の人たちと意思や感情を伝達しあえるように、私たちは積極的に取り組んでいきたいと思っています。その流れのなかで今回の『青い心白い心』を掲載しました」
実は今回の掲載は、数年前に菅原部長が2人の韓国人と出会ったことから実現したと言っても過言ではない。それは02年に童謡を通して両国の子どもたちの共通理解を図ろうと制作したCD「Dream Together」のプロデューサー、閔庚燦・韓国国立芸術総合大学教授と、作曲家で韓国童謡音楽協会の会長を務める韓龍煕さんだ。
このCDは両国の子どもたちがユニットを組み、日本語の童謡を韓国語で、韓国語の童謡を日本語で歌ったもの。
長い間、閔教授は両国の教科書にお互いの国の童謡を載せることを、相互理解の最善の方策と考えていたが、著作権をはじめとする諸問題の関係で実現できなかった。その気持ちに応えたのが菅原部長だ。
「大変近い国にもかかわらず、お互いの国の曲がそれぞれの音楽教科書に掲載されていないという状況がありました。ならば日本の場合は、教科書が果たす役割は非常に大きいので、紹介することがとても大事だと考えました」
そういう現状のなかで東京書籍が最初に手がけたのは、00年4月から掲載している韓国民謡の「アリラン」だ。ただし、この曲は韓半島にある歌を知ってもらうためだけの鑑賞的要素が色濃い。そして今年の新編では、子どもたちが歌うための曲として、CDに収録された「青い心白い心」を選定し、韓さんの承諾を得た。
菅原部長がこの曲を教材に取り上げた理由は、韓国解放後の新しい曲で現在も歌われ、さらに著名な曲であること。そして歌詞の内容が日本の子どもたちにも親しみやすいという点だ。さらに歌詞の持っているメッセージ性と、心に響いてくるものにも強く惹かれたという。
韓国の童謡にはじめて触れる子どもたちの反応を、今から楽しみにしているという。「子どもたちはとても柔軟で、未知のものに対して興味を持っています。今回はカタカナ表記ですが、子どもたちがハングル文字を見ながら歌いたいと言ってくれることを確信しています」
日本の音楽教科書で韓国の童謡を掲載するのは、今回がはじめてのケースになる。
菅原部長は遠くない時代に、韓国の童謡が日本の教科書に載っていることが普通のことだと思えるようになるために、より自然なかたちで教科書のなかに位置づけていきたいと意欲を示した。
(2005.04.06. 民団新聞)