掲載日 : [2005-04-06] 照会数 : 10278
「ウトロに行政支援を」京都・宇治市議会(05.4.6)
[ 民団南京都支部の李基安支団長(中央左)と総連南山城支部の朴道済委員長(同右)
]
◆民団と総連がっちり握手
初の共同請願を採択
【京都】京都府宇治市議会は3月30日、いつ行われるかもしれない強制立ち退きにおびえながら暮らすウトロ地区同胞への行政支援を求める民団南京都支部(李基安支団長)と総連南山城支部(朴道済委員長)による初の共同請願書を全会一致で採択した。
請願事項は高齢者と生活困窮者の実態調査とそれに基づく市としての適切な対策、および日本政府への支援要請の2点。両支部は02年3月にも市に共同で「要望書」を提出しているが、請願はこれが初めて。
ウトロ地区の敷地面積は約6500坪。劣悪な環境のなか、現在も同胞を中心に65世帯約200人が住む。住民の多くは戦時中、安価な労働力として「京都飛行場」建設工事に半強制的に駆り出され、日本の敗戦とともに何の補償もなく放置された当事者家族とその子孫たちだ。
ところが、土地所有者の日産車体が87年に多くの住民にはまったく知らせることなく土地を転売したため、不法占有に問われている。
解放から60周年を迎えた現在は、住民のほとんどが80歳を超えるなど高齢化が進み、無年金のために生活も苦しいのが現状。01年に国連の社会権規約委員会が住民の居住の権利を守るよう日本政府に提案・勧告。昨年は韓国政府も実態調査に乗りだし、この結果に基づき12月のアジア太平洋局長会議で日本政府に支援を要請していた。
◆暗闇に光明一筋両支部代表が会見
請願採択を受けて市役所で記者会見した両支部関係者はそれぞれ「暗闇に街灯をつけてもらったようだ」と語った。
民団南京都支部の李基安支団長は「地道な運動が実った」と喜びをかみしめていた。同じく崔忠植議長(民団京都府本部人権擁護委員長)も「宇治市の町づくりはウトロの住民たち抜きに考えられない。請願が採択されたことは大きな意味がある」と述べた。
市の高齢者対策室担当者は「請願の趣旨を踏まえ、これからどうしていくかは総務局とも相談しながら考えていくことになる」と話している。
(2005.04.06 民団新聞)