掲載日 : [2005-04-06] 照会数 : 5004
<韓信協>完全ペイオフ乗り切りに自信(05.4.6)
信頼呼ぶ経営透明化…預金増加、小口化進む
在日韓国人信用組合協会(韓信協=洪采植会長)の会員10組合は、今月1日からのペイオフ(預金などの払い戻し額を元本1000万円までとその利子に限る措置)の全面実施を平静に迎えた。全店舗とも営業に異変はなく、各組合関係者は完全ペイオフに果敢に対処してきただけに、生き残りに自信を深めている。
韓信協の会員組合はこの間、大手を中心に破綻が相次いだのを受け、民族金融の再生を期して統合・再編を進めてきた。その過程で最大の危機意識をもって準備してきたのがペイオフ対策だ。政府支援金の導入をはじめ、不良債権処理や経営コストの削減、出資金増強を断行し、一方で経営の透明化を進め、組合員と顧客の信頼をつなぎとめることに心血を注いできた。
加えて各組合が熱を入れたのは、小口定期預金の新商品と決済性普通預金の安全性、それと合わせた経営内容のピーアールだ。店頭ではもちろん、戸別訪問も徹底された。
広島商銀の徐徳守専務は「2年前から一定額以上の預金者を対象に戸別訪問した。そのかいあって、この1年で100億円強の預金増を獲得し、預金面で創立以来の単年度業績を上げることができた」と語った。
横浜商銀の朴準徳本店営業部長も「財務内容には厳しいものがあるだけに、既存の顧客を訪問しながら対応策の説明に時間をかけた。全額保護される決済性普通預金への移行がスムーズに行ったのもそのお陰だ」と振り返る。
九州幸銀の横江常務は「昨年11月から地区ごとに説明会を開いてきた。協同組合として取引先とのつながりが密接なことと、不良債権処理や業務内容も改善しているので、資金の移動はほとんど見られない」と強調した。
愛知商銀の李国男専務も説明責任を全うしたことに触れながら、「民族金融機関ということもあって、組合員とのコミュニケーションは円滑で、営業に対する信頼は厚い。同胞の場合は目立った動きがないが、日本人の新規顧客が増えている」と述べた。
あすか信組の田中総務部長は「昨年10月から決済性預金を導入した。渉外だけでなく窓口でも説明に努めてきた。決算ごとのディスクロージャー誌を昨年は初めて半期でも出した。業績透明化の徹底が顧客に安心感を与えたと思う」と語っている。
「新商品キャンペーンが奏功して、日本人の新規だけでも200億円を超え、嬉しい悲鳴を上げている。預金高が1100億の大台に乗ったことで、職員もやる気を出しており、すぐに新たなキャンペーンを始める予定だ」(横浜商銀)、「2月から始めた金利上乗せキャンペーンが功を奏し、6月までの目標額を3月末で達成できた。引き続き新規顧客の開拓に努めたい」(あすなろ信用組合)、「最近は資金量より収益性に重点を置いてきたが、徐々にボリュームを底上げしていきたい」(愛知商銀)、「“お得で安心な1000万円定期”が好評なので継続していく。自己資本も順調に増え、組合員に対するきめ細かなサービスで安心感を持たせるようにしたい」(岡山商銀)、「ライフスタイルの多様化で、悩みや要求は千差万別だ。高齢者の旅行や誕生日に合わせて声をかけるような、多彩な商品の開発を目指す」(広島商銀)。
各組合は安堵する間もなく、今後に向け意欲的な姿勢を見せている。
(2005.04.06 民団新聞)