掲載日 : [2005-04-06] 照会数 : 4675
韓国人元BC級戦犯「生存中に補償を」(05.4.6)
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院内集会でメンバーを激励する鳩山由起夫議員(右) ]
◆名誉回復求め50年…国会で立法化作業へ
1955年から日本政府に戦争責任を肩代わりさせられてきたことの謝罪と補償を求め続けてきた韓国・朝鮮人元BC級戦犯者者の「同進会」(李鶴来会長)の訴えが一部の国会議員を動かし、水面下で法案化に向けた作業が進んでいる。「同進会」発足から50年目にしてようやくかすかながら光が射し始めたかのようだ。
◆院内集会に超党派議員
「同進会」ではこれまで半世紀近くにわたり国家補償と謝罪を求めてきたが、99年に最高裁で請求が棄却されてからは「象徴的補償」の実施による名誉回復措置に切り替え、各議員に地道な働きかけを行ってきた。
民主党が中心となってまとめた法案は、「象徴的補償」として1人あたり300万円の支給を目指している。同進会が56年に当時の鳩山首相に要望した金額は刑死者の遺族に500万円、服役者には刑事訴訟法に基づき逮捕日から出所日まで通算1日5000円の損害賠償だっただけに金額的には不満が残るところ。
ただし、同進会の李鶴来会長は「もはや金額の問題ではない」という。東京地裁提訴の段階で7人だった原告のうちすでに4人が死亡。メンバーの中では最も若いとされてきた李会長もすでに80歳だ。生あるうちに仲間たちの名誉回復を急がなければならない切実な理由があった。
議員立法として国会での成立を目指すには、自民党の協力が不可欠。1日、同進会が衆議院議員会館で開いた院内集会に3人の自民党議員が参加したことは、同進会内部で明るい材料として受け止められている。
自民党国際局長の佐藤剛男衆院議員は呼びかけ人の1人でもある。集会では「誠に大変なご苦労。政治家としてやるべきことは取り組む」と法案提出を前に意欲を語った。また、厚生労働省援護局長を歴任した自民党政審委員の熊代昭彦衆院議員も「無視できない問題だ。補償に代わるものを考えないといけない」と述べた。このほかにも集会には民主党の鳩山由紀夫議員、社民党の福島みずほ党首らが出席した。
李会長は「日本人戦犯には恩給や年金が出る。日本人として徴用されたのに差別待遇を受けるのは到底納得できない。裁判では負けたが、付言で立法府の責任を認めている」と述べ、「今年中には形のあるものにしてほしい」とあらためて出席議員らの理解を求めた。
◆「同進会」とは
第2次大戦中、旧日本軍の「軍属傭人」として徴用され、南方のタイ、マレー、ジャワで連合国軍捕虜の警戒と取り締まりにあたったことで日本の敗戦後、連合国軍にBC級戦争犯罪人として裁かれた韓国・朝鮮人たちが、巣鴨プリズン出所後の55年に結成した互助組織。身寄りも経済基盤もないなか生活苦と厭世観から2人が自殺、戦犯としての汚名に耐えきれず精神に異常をきたした仲間も出たことから、「今後は1人の落伍者も出すことなく、同じく進んでいこう」との願いを込めて命名した。現在、日本国内の会員は遺族を含めて50人。
(2005.04.06. 民団新聞)