「共生」へ意欲新た
決議・ヘイトS法規制実現を
第70周年光復節中央記念式典が15日、民団東京本部の主管により東京・日比谷公会堂で団員ら約3000人が参加して開かれた。参加者は、わが民族の底力を今一度想起し、祖国の繁栄と韓半島の非核化および平和統一推進への積極参与を表明、韓日国交正常化50周年に際して両国関係改善へ懸け橋役のいっそうの強化を誓うと同時に、民族差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)の根絶へ全力を尽くすなどの決議文を満場一致で採択した。全国各地で開かれた民団の光復節慶祝記念式典でも同様な決議が行われた。
中央式典は金秀吉東京本部団長の開式辞で始まり、柳興洙駐日大使が朴槿恵大統領の「光復70周年慶祝辞」を代読した。
民団中央の呉公太団長は慶祝辞で、「光復70周年は分断70年でもある。我々も、祖国の繁栄によりいっそう寄与すると同時に、韓半島の非核化および平和統一の積極推進に尽力することをあらためて誓う」と強調した。
さらに、「韓日の友好なくして在日同胞社会の安定もない。民団は各分野での交流事業を通じて今後も両国の懸け橋に徹する使命感をもっている」と力説。同時に在日同胞を標的として排外主義をあおるヘイトスピーチの早期根絶へ法規制の実現に全力をあげると表明、日本側に法規制の推進を要請した。
呉団長は、前日の安倍首相談話「戦後70年談話」にふれ、「植民地支配について間接的、一般的な言い方に終始したのは非常に残念」と述べ、「忘れることはできない。だが許すことはできる」との南ア共和国のマンデラ大統領就任辞を紹介、「我々は、よりよい韓日関係と共生社会構築のために草の根の役割を、しっかりと果たしていきたい」とあらためて決意を明らかにした。
式典には自民、公明、民主、共産、社民、生活の各党代表が出席。祝辞で自民党の若宮健嗣国会対策委員会副委員長(衆議院議員)は「現在、両国間にさまざまな問題がある。こういう時にこそ、さまざまなレベルで対話と交流を図り相互理解を深め、協力関係を強固なものにし友好の輪を広げていく必要がある」と強調。「大きな節目となる本年を盛り上げていくために努力したい」と表明した。
公明党の魚住裕一郎参議院会長(参議院法務委員長)は、「安倍首相談話」発表までの公明党の役割に言及するとともに、「日韓国交正常化50年、戦後70年の今年、日韓関係を改善していこうという大きな動きが出てきた。年内に日韓の首脳会談が開けるまでに持っていきたい」と力説した。ヘイトスピーチ問題については、「絶対にあってはならない。日本の品位に関するもの」とし、国会で審議が始まった規制法案に触れ、「皆さんの要望に寄り添う内容にしたい」と述べた。
民主党の水岡俊一総務委員長(参議院議員)は「日韓両国は民主主義という同じ価値観をもち、両国のみならず東アジア地域や国際社会にとっても重要な隣国同士。政治レベルのみならず経済、人的交流など民間レベルの交流がさらに深まり、両国関係が重層的になり、より強固なものになることを期待してやまない」と表明。「ヘイトスピーチについては法案が提出され参議院法務委員会で審議中だ。一日も早く法案の可決、成立を目指してがんばっていきたい」と明らかにした。
共産党の小池晃幹部会副委員長(参議院議員)は、「日本と韓国の真の和解と友好に向かう転機となるよう全力を尽くしたい。日本の姿勢として必要なのはなによりも歴史に誠実に向き合い、侵略と植民地支配の反省を明確にすること。そしてそれにふさわしい行動をすることだ」と強調。「日本軍慰安婦問題は待ったなしであり、ヘイトスピーチの根絶も緊急の課題だ。さらに永住外国人の地方参政権という懸案についても、実現に向け努力したい」と決意を述べた。
(2015.8.26 民団新聞)