掲載日 : [2017-08-30] 照会数 : 9919
「虐殺の事実直視を」小池知事追悼文見送りで民団が再検討要請
[ 関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑(墨田区横網町公園内) ]
[ 都庁を訪れ、都知事宛に要請行動を行う民団東京本部 ]
関東大震災朝鮮人犠牲者式
歴史の風化許さず
東京都の小池百合子都知事が墨田区の都立横網町公園で毎年9月1日に営まれている「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」(同実行委員会主催)への追悼文の送付を今年は断った。「東京新聞」が24日付で速報し、各紙が続いた。追悼のメッセージは歴代都知事が踏襲し、昨年は小池知事も送付していた。方針転換を重く見た民団中央本部は25日、小池知事に追悼文の送付を要請する呉公太団長名の文書を送った。
小池知事が追悼文の発送を断ったのは今年3月、都議会一般質問に立った古賀俊昭都議(自民党)の発言がきっかけだった。古賀都議は、横網町公園内の朝鮮人犠牲者追悼碑に刻まれた「流言飛語のため6千余名」の朝鮮人が虐殺されたとした文言を「歴史の事実と異なる数字や記述」と述べ、追悼辞の再考を求めていた。
朝鮮人虐殺犠牲者数「6千余名」は追悼碑建立の73年当時、研究者の多くが使っていた数字であり、現在の研究水準であれば異論もある。しかし、虐殺の事実そのものは日本政府も認めている。
それだけに民団中央本部としても要請文のなかで「犠牲者数の多寡を理由に追悼辞を断ってはならない」と強調。なぜならば、追悼辞は「彼らを悼み、再発を防ごうとする気持ちを表す心の問題だから」だ。そのうえで、虐殺の事実を覆い隠そうとする潮流に断固たる姿勢を堅持するよう求めた。
ましてやヘイトスピーチ、ヘイトクライムが日本各地を席巻し、排外主義が正面切って助長されている風潮のいま、東京都は昨年6月に成立したヘイトスピーチ対策法(解消法)に依拠し、これを補完する条例を全国に先駆けて制定する立場にあると要請した。民団東京本部(金秀吉団長)も30日、都庁を訪れ、都知事宛に要請行動を行った。
(2017.08.30 民団新聞)