掲載日 : [2017-09-27] 照会数 : 10986
ソウル市の蘆原区に広島から路面電車譲渡…民団の仲介で実現
[ 民団の仲介で譲渡が実現し、広島の路面電車の前で記念撮影する広島電鉄幹部と呉団長ら民団と韓国側の関係者 ]
[ 呉公太団長、金星煥区長と広島電鉄の椋田昌夫社長が無償譲渡の契約書を交わした ]
【広島】民団の仲介によって、韓国・ソウル市の蘆原区が路面電車1台を日本の広島電鉄から無償で譲り受けることになり、20日に広島で契約を交わした。
鉄道公園で来年、現役復帰
譲渡されたのは今年2月まで現役で広島を走っていた「900形」で1964年に製造された車両。
同区は以前から、日本各地に路面電車の提供先を探していた。この間、民団中央本部が仲介となって都電をはじめ、北海道から関西、中国、四国や九州など全国各地の路面電車電鉄と交渉を続けてきた。
20日、広島市中区の広島電鉄本社で民団中央本部の呉公太団長、任泰洙副団長、広島本部の李英俊団長が同席するなか、ソウル市蘆原区の金星煥区長と広島電鉄の椋田昌夫社長が無償譲渡の契約書を交わした。
同区とソウル市では共同で鉄道の歴史が学べる「鉄道公園」を造成する計画で来年冬に開設の予定だ。
今回譲り受ける路面電車は、今年5月にチェコで購入した路面電車と共に、地下鉄6号線の「花郎台駅」と鉄道公園の間の700メートルの区間で来年上半期から運行する予定。区は当初この路面電車を購入しようとしたが、広島鉄道側が公園造成の趣旨に共感し、無償で譲渡することを決めた。
韓国では自動車による渋滞が社会問題となっており、環境対策として路面電車が見直されている。車両は今年12月に輸送される見通しだ。
広島電鉄は神戸市や京都市など市電が廃止された都市から多くの車両を譲り受け、「路面電車の動く博物館」とも呼ばれていて、今回譲渡される車両も1970年代まで大阪市で走っていた。
金星煥蘆原区長は、「ソウル・清涼里と江原道、春川を結ぶ京春線の廃線跡に造成された京春線公園と合わせて、鉄道公園がソウルの観光名所として発展するよう最善を尽くしたい」とし「韓日には歴史問題など緊張感もあるが、路面電車が友好の懸け橋としてよい影響をもたらしてくれると思う」と述べた。
椋田社長も「平和都市・広島で活躍した車両が韓国でもう一働きできるのはうれしい。かわいがってもらいたい」と語った。
(2017.9.27 民団新聞)