
北韓の度重なる核・弾道ミサイル開発に反対する示威行動は15、16の両日、民団の各地方協議会が中心となって全国5都市で一斉に行われた。名古屋市と大阪市では雨にたたられたが、北韓に向けられた怒りは一層燃え上がるばかりだった。一部地域では日本人も自発的にデモ行進に加わり、団員を勇気づけた。民団中央本部の兪在根常任顧問は今回の示威行動に先だって、激励金として1000万円を民団中央本部に伝達した。
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東京
東北は東京に合流 民団東北地方協議会(金政郁協議会長=宮城本部団長)は金団長が東北の各民団、婦人会、青年会、商工会を一つにとりまとめ、16日の関東地協に合流した。
宮城から参加した韓相俊君(27)は「若い」ということで、民団旗を掲げて最前列に並んで行進した。
民団宮城本部の姜恵美子事務局長は「一致団結して北韓に抗議する姿を日本社会に見せたことは意義深く、貴重な体験だった。同胞ばかりか問題に理解のある日本人や団体も巻き込んでこのようなデモができる環境をつくらなければならない。日常の草の根交流がいかに大切なのかを強く感じた」と胸の内を語った。
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街頭デモに出発する前、千代田区立日比谷図書文化館で気勢を上げる団員ら |
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大人に負けじと大きな声でシュプレヒコールをあげる子どもたち(東京) |
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名古屋
降雨が志気高める 民団中北地協(朴茂安協議会長=愛知本部団長)は16日、雨の降りしきるなか愛知、岐阜、三重、福井、石川、富山の6県から300人が名古屋市中区の白川公園に集結した。民団愛知と太いパイプを持つ中部韓人会からも多くの有志が加わった。
集会で朴団長は、「北の核、ミサイル実験は絶対に許してはいけない。黙っている朝総連にも強い怒りを感じる。日本の方々にわれわれの平和を求める声を伝えていこう」と檄を飛ばした。
白川公園を出発したデモ隊は若宮交差点を経由、メーンストリートの矢場町から栄交差点にさしかかると、いちだんと大きな声で北韓の暴挙を糾弾した。この日の雨はかえって参加者の志気を高めたようだった。
日本のマスコミ関係者も「雨の中、よくこれだけ集まりましたね」と感心した表情で声をかける場面が見られた。
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デモ隊の先頭に立つ愛知の朴茂安団長ら中北6県の幹部たち |
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広島
慰霊碑に平和誓う 民団中国・四国地協(李英俊協議会長=広島本部団長)は15日、韓国人原爆犠牲者慰霊碑の建つ広島市内の広島平和記念公園で抗議集会を開いた。
李団長は平和公園を集会場所に選んだ理由について「被爆者の気持ちを考えると、世界で初めて原爆を投下されたこの地から声を上げることがなによりも大切なんだと痛感した」という。
併せて「自分たちが北韓の無謀なミサイル発射を決して容認していないことを、明確な形で市民に強く訴えたかった。北韓の人たちも広島で起きた悲劇に目を向けてほしい」と語った。
集会には近隣の山口、島根、鳥取、岡山、香川、愛媛、高知から約150人が結集。各県の代表が韓国原爆犠牲者慰霊碑に献花し、全員で黙祷を捧げた。最後に声高らかにシュプレヒコールを上げると、市内中心部を約2キロにわたって練り歩いた。デモには被爆1世とその子どもたちも加わった。
沿道からは「なるほどね! 今朝もミサイルを発射しているし」と、民団の抗議に関心をもって目を向ける通行人の姿が多かった。
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韓国人原爆犠牲者慰霊碑前で抗議集会を開き、意思統一を図る |
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大阪
沿道の市民が応援 【大阪】民団近畿地方協議会(鄭鉉権協議会長=大阪本部団長)は16日、大阪市内の扇町公園で抗議集会を開催。雨の中、近畿2府4県と徳島県から約600人が参加した。
集会で民団大阪本部の鄭団長は、「私たち在日韓国人の強い抗議の意志を日本社会や韓国社会にしっかりと伝え、毅然とした姿勢で整然とデモ行進を実行しよう」と呼びかけた。また、河相泰民団京都本部団長も「核実験、核の保有は許されるものでない。断固、糾弾しよう」と声を張り上げた。プラカードと太極旗を掲げたデモ隊は扇町公園を出発し、中之島公園までの約2キロを行進した。
参加者は決議文を採択すると青年会のシュプレヒコールに合わせ「北は核開発を放棄せよ」と声を振り絞った。
民団滋賀本部の朴鍾文団長は「北韓の蛮行を断固、許してはならない」と語った。民団大阪本部顧問で布施支部の呉龍浩常任顧問は「韓国を北韓と同じように思っている日本の人も多い。民団はしっかりと訴えていかないと」と話していた。
民団大阪本部の金明弘副団長は「北韓のこれまでの暴挙に声を上げ、民団は平和への強い意志を地域にアピールしていかなければならない」と訴えた。
沿道からは行進を静かに見守る住民や観光バスから手を振る人の姿も見られた。
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雨のなか、扇町公園から市内の繁華街に向かう約600人のデモ隊 |
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福岡
拉致被害にも言及 民団九州地協(李相鎬協議会長=福岡本部団長)の集合場所となった16日のJR博多駅前・明治公園。台風が近づいているにもかかわらず、示威行動を前に奇跡的に雨が上がった。九州一円から集まった約100人は一様にほっとした表情を見せていた。
一行は先導車輌に導かれるように公園を出ると、シュプレヒコールを叫びながら駅前繁華街約1・5キロを行進した。行進の隊列には団員とひごろからつきあいのある新渡日の同胞や日本人の姿も。スローガンに拉致被害者救出を加えたことで、日本人の参加者が喜んでいた。
李団長は「このような示威行動を行ったことで、日本の人たちに民団の立場を理解してもらえたのではないか」と手応えを語った。実務を担った民団福岡本部の李泰宏事務副局長は「準備期間が短かったとはいえ平和を願う私たちの気持ちは分かってもらえたのではないか」と述べた。
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新定住者や日本人の仲間と一緒に拉致被害者救出も訴える |
(2017.9.27 民団新聞)