掲載日 : [2017-11-15] 照会数 : 7886
「川越唐人揃い」パレード華やかに…「通信使 世界遺産」を祝賀
[ 小江戸・川越の蔵造り通りを400人が行進した ]
[ 正使役の柳鍾穆さん(左)と榎本弥左衛門役の長島威さんが俳句と時調を交換し固い握手 ]
【埼玉】朝鮮通信使のユネスコ世界記憶遺産登録を祝う意味を込めた「第13回川越唐人揃い‐多文化共生・国際交流パレード」(同実行委員会主催、駐日韓国大使館など後援)が12日、「小江戸」の魅力あふれる川越市の蔵造り街並み一帯で実施された。今年は18団体の約400人が、アジアや中近東の国々の民族衣装を着て、約1・5キロを練り歩き、伝統音楽を奏でたり、民族舞踊などで沿道の人たち約3万人(主催者発表)を楽しませた。
子孫も来日参加
川越には朝鮮通信使が来ていない。しかし、1655年に江戸で朝鮮通信使を見た川越の豪商、榎本弥左衛門が行列の感動を日記に書き残し、1700年頃の川越氷川礼祭(川越祭り)で朝鮮通信使の仮装行列である唐人揃いを実施した。唐人とは外国人を指す言葉だった。
今年で13回目を迎える唐人揃いの開会式で江藤善章実行委員長は「朝鮮通信使の世界遺産登録が実現した。日韓友好だけではなく、世界平和がいかに素晴らしいか。今日はみんなで感じよう」と力強くアピールした。
川合善明川越市長は「この祭りが毎年大きくなってきた。通信使のユネスコ登録も実現し、おめでたい。いろいろな民族が仲良く多文化共生で広がり、友好交流につながればいい」と述べた。
祭りのメーンは、やはり朝鮮通信使の行列だ。正使役はユネスコ登録申請をした韓国側の団体、釜山文化財団の柳鍾穆代表理事。多忙な日程をさいて来日した。副使は元ソウル市職員で、自転車でソウルから東京を走る「通信使」として5回この祭りを訪れている朴成培さんが務めた。韓国からはこのほか、「朝鮮通信使子孫の会」の趙誠斗、申箕秀、申慶植、申浩、金玄鎮氏ら5人も行列に参加した。
柳代表理事は「多様な文化交流を対馬、下関、瀬戸内、静岡などで行ってきた。相互の人間関係を築き、結束し、登録実現につながった。川越の祭りも100年続けば、伝統になる。今後も韓日関係の持続的な関心と協力を」と呼びかけた。
パレード中間地点でのセレモニーでは、榎本弥左衛門役の長島威さん(元町町会長)と柳正使役の間で「国書」の代わりに、当時の「筆談唱話」の再現でそれぞれが詠んだ「俳句」と「時調」、揮毫が披露され、交換された。日本側の書は「絆」、韓国側は「誠信」だった。子ども通信使の金澤里華さんからは「良き友」と書かれた楷書の文字が榎本役の長島さんに贈られた。
「子孫の会」の趙さんは足が悪く杖をついていた。「通信使の子孫と紹介された時、沿道の方々がどよめき、アンニョンハセヨと声をかけられたのが、とても嬉しかった」と喜び、完歩した。
小川満事務局長は「ユネスコ登録を機会に、もっと通信使の歴史を知ってもらいたい。これからの日韓の友好関係がさらに深まることを祈っている」と祭りを振り返った。柳代表理事は「通信使が通らなかった川越で市民の力でこのようなパレードができることは素晴らしい。ユネスコ登録も市民の支援があったからこそだ。韓日関係も朝鮮通信使の『誠信』の精神で関係改善に努めてほしい」と結んだ。
(2017.11.15 民団新聞)