掲載日 : [2016-04-20] 照会数 : 12687
<熊本地震>同胞被害の把握急ぐ…対策本部・民団会館の機能回復も
[ 室内が散乱した徐海錫さん宅を片付けに訪ねた民団熊本本部関係者 ] [ 外壁が損傷し、内部も傷んだ民団熊本本部会館(左) ]
【熊本】14日夜に発生した震度7の激震以降も強い揺れが続く熊本県内は、家屋や公共施設の多くが被害を受け、ライフラインも寸断されて被災者救済も遅れ気味だ。
15日に設置された「熊本地震被災者支援韓国民団対策本部」は19日、副本部長の林三鎬中央副団長らを現地に派遣、地震直後の15日に現地入りして同胞被害調査にあたってきた白秀男組織局副局長らと合流、熊本本部の金泰?団長と陣頭指揮に当たっている。
被災者支援センターとなるべき民団熊本本部は築48年近く経つ建物で、外壁が損傷し、内部の柱も傷んだ。天井や裏の壁に穴もあいた。崔相哲事務局長は「会館自体が危ない状態で内部も手がつけられない。このままでは団員の安否確認などにも支障が出る」と焦燥感を募らせている。
19日現在、団員約350世帯1160人に人命被害や家屋の倒壊被害はなどは確認されていない。だが、熊本市内の同胞の9割方は店舗が営業不能のうえ、余震を恐れて自宅で寝ることができず、車中泊を余儀なくされている。崔事務局長は、「救われるのは、一人暮らしのお年寄りでも近所に家族がいるので、避難所に同胞はほとんどいないこと」と話す。
だが、韓式屋台「とらぢ」(中央区)を経営する新定住者で、一人暮らしの徐海錫さん(67)の場合は少し事情が異なる。
徐さんは「ガスも水も止まった。いつ営業できるか分からない。今は何も考えられないし、生きるだけで精一杯」と嘆く。住居も暮らせる状態ではない。
徐さんは今も民団から届くパンやラーメンなどで空腹をしのいでいる。「民団には毎日顔を出す。避難所は日本人で一杯だから、夜は公園で民団が用意してくれた車で寝ている」
15日の晩、崔事務局長、朴総務部長、高議長の3人が物が散乱した店舗の片付けに訪れたが、ひっきりなしに続く余震で断念せざるを得なかった。
(2016.4.20 民団新聞)